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ワカゲノイタリ【1】
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「…ひな…」
「…ゆう…」
双子は、顔を見合わせる。
自宅の前には……見覚えのある、黒いスポーツカーが停車していた。
「ぼく、そんな話一言も聞いてないんだけど。」
「俺も聞いてない…また、気紛れじゃないかなぁ…?」
「だと良いんだけど。たまに真面目な話持ってくると怖いからなぁ…美夜子さん…」
「やめてよひな!…ああう、何か家に入るの怖くなってきたよ…」
2人が恐る「美夜子」さんは…2人を産んだ、正真正銘、母親である。
何故だかは知らないが、美夜子は子供に自分を名前で呼ばせていた。
「まぁ待たせても怖いし…ぼくらには特に用事ないかも知れないし。行こ。」
「うん…」
世界的なファッションブランドのデザイナーである美夜子は、滅多に家に帰って来ない。
だがしかし…たまにこうして帰ってきては、さらりとひなたたちの運命を左右することを言ってみせたり、はてまた亭主…つまりはひなたたちの父親とデートするためだけに帰ってきてみたり。
目的は毎度変わるのだ。(そして毎度前触れは無に等しい。)
「「ただいまー」」
「おかえりなさいませ、おぼっちゃま方。美夜子様がお戻りですよ。」
「分かってるよ初瀬。」
2人を迎えた、使用人の初瀬(はせ)は作用ですか、と笑う。
…この男、2人が幼いころから使用人をしているが…年齢不詳だ。双子の物心ついたころから、容姿が変わっていない。
だが、今更そんなことも疑問に持たなくなってきた双子は、それぞれ弁当の袋を初瀬に預けつつ部屋に向かう。
そして各自部屋に荷物を置き、そのまま着替えを済ませるとほぼ同時に部屋から出て来た。
「…こゆとこ、無駄に双子だよね、ぼくたち。」
「1人で美夜子さんに会うよりは、2人で、ね…」
双子は顔を見合わせ頷くと、リビングへと向かって行った。
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