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ワカゲノイタリ【2】
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「あら、お帰り…かしら、ただいまなのかしら!」
「んー、おかえり?美夜子さん。」
「ただいま、美夜子さん。」
「んー、2人とも元気そうね、陽太、夕陽。」
「美夜子さんこそ。」
リビングに向かうと…そこには母である美夜子の姿があった。
どうやら父はまだ帰宅していないらしい。
2人をいとおしげに抱き締める美夜子に対して、2人もそのハグに応える。
…海外にずっといるせいか、息子たちが高校生になってもスキンシップは激しい。
「そういえば…聞いたわ。陽太あなた、夕陽にブレスレット渡したんですってね?」
「あぁ…うん。家督は夕陽に任せることにしたんだ。でも…会社はぼくが継ぐつもりだよ。」
もう話は伝わっていたのか、と内心驚きつつひなたは美夜子と並んでソファに座る。
夕陽もひなたの隣に腰掛けた。
「そう。…まぁ、貴方と滝沢くんの関係が続く限り、その線が無難ね。……滝沢くんは?どう、元気?」
「元気だよ。…バイトと勉強でいつも忙しそうにしてるけど、ぼくのこともすごく大切にしてくれる。」
「…そうなの。夕陽から見たらどう?」
「うん、ひなのこと、大切にしてるってすごく伝わってくる。…何よりも、幸せそうだしね、2人とも。」
…ひなたは以前から何と無く感じていた。
美夜子は……母は、周との関係をあまりよく思っていない。
兎田家嫡男が男同士で付き合っている、と言うことも容認するわけにはいかないだろう。
…だが、その前に母親として、世間から見れば真っ当ではない付き合いを自分の息子がしているのだ。
将来やら何やらを考えて、だ。
それでも今は2人の付き合いを「黙認」している。
「一週間、こっちにいるから…その間に一度でもいいから遊びに来てもらって?久々に滝沢くんとお話したいわ!滝沢くんに似合いそうな新作も持ってきたのよ。」
「うわ!めっちゃカッコイイ!絶対似合う!ありがと、美夜子さん!」
「陽太と夕陽のもあるから、2人で着てみて?」
「うん、ありがとう、美夜子さん!」
――…ひな…兄の、背中から感じる不安は、何だろう。
夕陽はひなたの背中を見やりつつ…美夜子から服を受け取って、笑顔を繕った。
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