アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ワカゲノイタリ【3】
-
美夜子の突然の帰宅の翌日、昼休み。
ひなたは早速周に美夜子が会いたがっていると伝えた。
「そっか。美夜子さんに会うのも久しぶりだね。」
「あんまり帰ってこないからねぇー」
美夜子がアレンジしたらしい、両サイド編みこみのツインテールを揺らしながら、ひなたは苦笑した。
良かったね、と周は笑いながら携帯を操作する。
「んー…明日はバイトあるから、明後日でいいかな?」
「おっけー。じゃあ美夜子さんに連絡しておくね!」
ポケットから携帯を取り出したひなたは、パタパタと走っていく。
その後姿を見届けると…周は(実は初めから一緒にいた)夕陽に視線を向けた。
「…美夜子さんは、やっぱり俺のことあんま良く思ってない?」
「周さん自身のことは相当気に入ってますよ。会いたがってるのも事実です。…でも…」
「俺とひなたの関係は認められない、よね。」
「……。」
ひなただけでなく、周と夕陽もその想いには気付いていた。
そして同時にそれは当然の感情である、とも分かっている。
「兎田家の嫡男…って言う以前に、将来のこととか世間体を考えると、可愛い息子が男同士で恋愛してるのは…やっぱ認めるわけにはいかないよ。」
「…すいません、お役に立てなくて…」
「ふふ、別に夕陽くんは悪くないって。…分かってるのに、はっきりしない俺が悪いんだ。」
「…周さん…?」
はっきりしない理由は…その理由自体は分かっている。
(俺の中にも、明確な『答え』が出ていない。)
先日の球技大会、東の「若い」と言う言葉が周の中に蘇る。
経験値の無さ。
若気の至り。
(そう思われても、仕方ないって…逃げ、だよね…)
心配そうに顔を覗き込んでくる夕陽の頭をぐりぐりと撫でつつ、周は小さくため息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 34