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オトコノコ【3】
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『少しだけ会えない?』と、身体測定を終えたひなたの携帯に周からのメールが届いていた。
ひなたは筧に別れを告げ、いそいそと空き教室に向かう。
すると朝と同じように、すでにそこには周がいた。
そして周はひなたに気付くとひなたを手招く。
「ひなた、」
「あまねせん、ぱい?」
近づいてきたひなたを、周は包み込むように抱き締めた。
突然の行為に驚きながらも、ひなたもその腰に腕を回す。
「んー、ひなただぁ…」
「…先輩?どうしたの?ひなたはひなたですよー?」
ひなたの首筋に顔を埋め、すんすんと匂いをかぐ周。
いつもの周らしくない行動に、ひなたは苦笑しながらぽんぽんと周の腰を撫でた。
「…そ、ひなたはひなた、だよ。」
「へ?」
少し離れる体。
今度は周の両手がひなたの頬を包み込んだ。
ひなたの大きな瞳は大きく見開かれ、周を捕らえる。
「男の子とか女の子とか…俺にはぜんぜん関係ない。ひなただから、好きなの。」
「…先輩…さっきのこと……」
「嫡男として頑張るひなたはすごいと思うし、身長とかのことで悩んじゃうひなたは可愛いと思うし…俺のことが大好きなひなたが、俺は大好きだよ。」
ね、と微笑む周。
そんな周の優しい言葉に、ひなたはあふれる涙をこらえることが出来なかった。
「でも…女の子なら、結婚できたし…っ」
「でも、ここ男子校だし…女の子なら、出会えなかったかもでしょ?」
「これから先、もっと可愛い女の子に会うかもしれないし…」
「でもその子ってひなたじゃないでしょ?俺が好きになることはないよ。」
いつもなら…その名前のように、暖かな太陽の光のように笑っているひなた。
そのひなたが演技でもなく、弱音を吐くのはほとんど初めてだった。
今までは…自分の境遇の後ろめたさもあり、ひなたの『立場』について突っ込むことは無かった周。
だがそのことで恋人が悩んでいるなら別の話だ。
だから今日こうして、バイトまでのわずかな時間とはなるがひなたを呼び出したのだった。
「ひなた。悩んでるならちゃんと言って?たとえ俺じゃすぐに解決できないことだとしても…一緒に悩んであげるから。」
「せんぱい…」
「俺は絶対、ずーっと、ひなたの味方だよ。…信じて、ね?」
涙が流れる頬にそっと口付けを落とす。
ひなたは少し驚いて…それから、幸せそうに微笑んだ。
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