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タラシとヘタレ【2】
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朝。
携帯のアラームを止めて、大きなあくびをしながら周はベッドから起き上がる。
アラームを止めてそのまま手に持っていた携帯で時間を確認しつつ、洗面所に向かった。
高校の学生寮、と言ってもほとんどマンションやアパートの類に近い。ただ学校側が家賃を払ってくれているだけ、と言う状態。
そのため、食事や生活費は自分でまかなうことになっている。
いつも通り6時半に起床した周は顔を洗い終えると冷蔵庫の中を漁る。
ここ最近はバイトをこなして時間が無く、あまり買い物にいけなかったためさっぱりとしたその中身。
とりあえず、とバターと卵を取り出し簡単な朝食をとることにした。
フライパンにバターをいれ、熱で溶けるのを見届けながらそこに卵を流し込む。
しょうゆと砂糖で味付けされたは、スクランブルエッグの要領で混ぜられる。ある程度固まれば、火を止めて余熱で仕上げ。
事前に茶碗に盛られた白米の上に乗せられた。
1人暮らしをしているが、ほとんどコンビニ弁当で済ませていると付き合い始めた当初にひなたに告げれば「それじゃあ体に良くない!」と少しだけ簡単な料理を習った周。
今も少しずつレパートリーは増えている。最近は電子レンジのみで出来るもやしレシピを覚えたところだ。
インスタントの味噌汁も添えられたところで携帯を取り出す。
時間は7時。低血圧の彼を起こす時間だ。
『もしもし……』
「おはよ、ひなた。起きた?」
『んー……』
電話口でもわかる大あくび。
そんな行為すら可愛いと思ってしまうのだから…周の溺愛のほどは相当であろう。
電話しながらの朝食を済ませ、いつもひなたに会う空き教室へ向かう。
10分ほど机に突っ伏していれば、ひなたはやってくる。
「あまねせんぱい」
「…ん、おはよ、ひなた。」
いつもの朝、いつものひなたの笑顔を見て周の一日はようやく始まるようなもので。
今日も今日とてひなたを自らの膝の上に乗せ、上機嫌に体を引き寄せる。
「先輩、ぼく重くない?」
「重くないよ。」
「…ぼくも男だし、意外と筋肉ついてるんだけどなぁ。」
やはり女子よりは締まっている太ももに触れながら、ひなたは苦笑した。
それでもその苦笑はやはり周には可愛らしく映り、さらにひなたを抱き締めた。
「…そういえば、俺、昨日また万引き捕まえたんだ。」
「え、また!?やっぱ駅前の本屋さんは万引き多いよね…またリーマン?」
「んーん。女子高生4人組。」
「げ、4人?」
そこから昨日の経緯をひなたへ説明する。
その説明を聞き終えたひなたは…顔を真っ赤にしていた。
「え…どしたの、ひなた。」
「どしたの…じゃ、ないよぉ…この、タラシぃ…!」
「へ?」
万引きの話をしただけなんだけど、と周は首をかしげる。
そこじゃない!とひなたは全力で否定した。
「万引きの女子高生の誰よりもぼくが可愛いってとこ!それをバイトの先輩に言っちゃうとこ!それをぼくにも言っちゃうとこ!」
「うん、だって、全部事実だし…」
「…天然タラシ!!でもそんなとこも好きだ!!」
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