アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
心の距離 05
-
「ね、先輩。」
篠原の息が耳に当たってくすぐったい。
でも、それが俺の緊張と恐怖を和らいでくれた。
それはたぶん、篠原が近くにいるっていう安心感。
「…ん??」
「俺、大丈夫ですよ。」
「…ぇ??」
「俺のこと、傷つけると思って、啓介先輩と何があったのか言わないんですよね??」
「……」
何も言えなかった。
だって、その通りだから。
「図星??」
「うるさい!!」
クスクスと、耳元で笑っているのが聞こえた。
「先輩、言って。全部抱え込まないで。抱えてる荷物、半分俺にもください。」
「で、でも…」
「ん??」
「俺、おまえを信じてあげられなくて…傷つけたのに。また傷つけるなんて…」
そんなこと、俺には出来ない…
したくない…
「その気持ちだけで十分ですよ。」
「篠原…。」
「それに、ちょっと身だしなみとか生活態度変えただけで、俺に対してのみんなの見方はそう簡単には変わりませんよ。」
顔を上げて、「だから、平気です。」と、ニッと笑って言う篠原。
それでも、やっぱりあのときの篠原の顔が頭から離れない。
俺は、篠原の頬に触れた。
「ごめん…」
「先輩??」
「ごめんな、篠原…」
「だから、それはもう、」
「でも!!」
「でもじゃないです。俺がいいって言ってるんですから、いいんですよ。」
「だけど、篠原」
「じゃあ!!」
俺の声を遮って一際大きな声を上げる。
グッと篠原の顔が近づいた。
「先輩からキスしてくれたら、許します。」
「なっ!?」
「ほら、早く。」
勝ち誇ったような満面の笑み。
自分からキスなんてしたことない俺は、顔から火が出るくらい真っ赤だ。
「~っ!!」
どうしよう、どうしようと1人頭の中で格闘している俺。
そんな俺を見て、早く早くと急かすような視線で訴える篠原。
「じゃ、じゃあ…」
俺は、観念したかのように話し始めた。
「目…閉じて。」
「はい。」
俺の言葉に頷いて、ゆっくりと瞼が下がっていく。
改めて見ると、篠原って意外とかっこいいんだなって思った。
雰囲気が近寄りがたいところもあるけど…
みんなが噂してたし。
「篠原ってかっこいいよな!!」って。
みんなが言ってることが今、なんとなくわかる。
切れ長な目。薄い唇。整った鼻と眉。シャープな顎。
どのパーツも整いすぎていて…
篠原ってこんなにかっこよかったんだな…。
そういえば、ちゃんと篠原の顔を見るのは初めてな気がする。
今まで避けてた部分があったから…
篠原の顔をまじまじと見て、そう思っていると、「まだー??」と声が聞こえて、我に返った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 147