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心の距離 06
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「い、今からします…。」
「なんで敬語??」
篠原はふっと笑った。
「い、いいだろ、別に…。」
緊張してるんだよ、一応…
そんな、俺の気持ちなんて知らないんだろうな。
目の前の人物はニコニコしながら俺からのキスを待っている。
「スゥ…ハァ…」
篠原に聞こえないくらい静かに深呼吸をして、なんとか気持ちを落ち着かせて緊張を和らげる。
そして、「よしっ!!」と、自分の心の中で活を入れて、篠原の頬に手を添える。
ちゅっ
自分の唇を自ら篠原の唇に重ねた。
ゆっくりと唇を離し、閉じていた目を開ける。
篠原と視線が絡み合う。
「こ、これでいいだろ??」
強気な言い方。
でも、こうでもしないと、恥ずかしすぎてどうにかなりそうだった。
「篠原??…うわっ!!」
グイッと腕を引っ張られる。
篠原の顔が近い。
「まだ…まだ足りない。」
「しのは、んっ!?」
次は、篠原の唇が俺の唇に重なった。
「んっんぅ…」
どんどん激しさを増していくキス。
舌を絡めて、お互いを求め合う。
「んっ…ふぁ…しの…は…ら…」
頭がぼーっとする。
何も考えられない。
篠原のことしか考えられない。
「先輩、かわいすぎ…」
篠原から降ってくるキスの雨。
俺は、それをこぼさずに1つ1つのキスを大事に受け入れる。
なぜかはわからない。
でも、離したくなかった。離れたくなかった。
「んっ…は、んぅ…」
「んっ…」
篠原の唇がゆっくり離れる。
俺は閉じていた目をゆっくり開けた。
篠原の視線が俺を捕らえる。
目を逸らすことが出来ない。
「ね、先輩。そろそろ教えてよ。啓介先輩に何されたのか。」
「っ!!」
啓介先輩。
その名前を聞くと、手が震えだした。
まだ覚えている。あの感覚。声。感触。
全部覚えている。
「大丈夫…大丈夫だよ、先輩。俺、受け入れたいんだ。ちゃんと、受け入れたいんだ。だから、言って??」
震えている手に篠原の手が重なった。
温かい…。安心する。
俺は、自然と口が開いた。
今なら話せる。そんな気がした。
「キス…されたり…」
「うん。」
「胸、触られたり…」
「うん。」
「下…触られたり…」
「下??」
「えっと…」
さすがに言葉で言うのは恥ずかしい。
でも、隠したくない。嘘をつきたくない。
俺のことを受け入れると言ってくれた篠原には、きちんと話したい。
「俺の…とか、穴にも、指入れられて…」
「うん。」
「口にも、啓介先輩の入れられて…。俺のも、啓介先輩にくわえられて…。それから…」
言っているだけで涙が溢れる。
体も震えだす。
怖い。怖い。怖い。
「それ、から…っ!!」
温かい腕。優しい胸。
俺は、篠原の腕の中にいた。
「もう、いいから…。もう、話さなくていいから…。」
苦しそうな篠原の声。
今にも消えてなくなってしまいそうだ…
「ごめん、篠原。ごめん…」
「なんで、先輩が謝んの??」
「だって…おまえをこんな気持ちにさせたから…」
おまえを苦しませた。苦しい思いをさせた。
「それは、先輩も一緒でしょ??」
「…え??」
「先輩も苦しかったんでしょ??辛かったんでしょ??」
「っ!!」
「だから、一緒だよ。一緒だから…。俺もごめんね。来るのが遅くて、ごめんね…。」
「篠原…。」
篠原をぎゅっと強く抱きしめると、篠原も抱きしめ返してくれた。
温かい。気持ちいい。落ち着く。安心する。
この腕が好きだ…
俺を優しく包み込んでくれる、この腕が好きだ。
俺たちは、お互い離れたくなくて…
お互いを離したくなくて…
時々名前を呼び合いながら、俺たちは抱きしめあった。
それがものすごく恥ずかしかったけど、心地よくて…
自然と涙が止まっていた。
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