アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
好き、嫌い、好き 03
-
自分の部屋に戻って、制服に袖を通す。
ネクタイを締めて、準備完了。
鞄を持って、学校へと向かった。
教室に着くと、ポケットに入れていた携帯が震える。
取り出して、開くと、画面に"篠原柊"と表示され、胸がドキッと跳ね上がる。
ど、どうしよう…
おそらく、話は今朝のことだろう…
でも、まだ心の準備が…
1人オロオロしていると、思わず通話ボタンに手が触れた。
「あ…」
『先輩??』
携帯から聞こえる篠原の声。
今さら切るのも悪いと思って、携帯を耳にあてる。
「あ、あぁ…うん。えっと…何??」
『ちょっと話があるんですけど。今どこですか??』
やっぱり…
「今、教室。」
『じゃあ、今から空き教室に来てください。』
行きたくない…
「いや、でも授業がさー、」
『そんなのどうでもいいですよ。』
「どうでもよくないだろ!!」
『いいから、早く来てください。』
「い、嫌だ!!」
『じゃあ…』
篠原の声色が変わる。
一気に鳥肌がたった。
『あの写真バラしてもいいんですね??』
「…は??」
あの写真って…
まさか…!!
自分でも、血の気が引いていくのがわかる。
『いいんですかー??あんな写真バラしても。バレたら、先輩のイメージがた落ちですねー。』
こ、こいつ…
ムカつく!!
ちょっといい奴って思ってたけど…前言撤回!!
やっぱりこいつは最低だ!!
『あー、そうですか。先輩来ないんですね??じゃあ、』
「あー、もう!!わかった!!行くよ!!行けばいいんだろ!?」
携帯越しだけど、篠原のクスクスという笑い声が聞こえた。
『じゃ、俺待ってますから。』
満足そうに言う篠原。
そして、電話はすぐに切れた。
「はぁ…」
思わず深いため息が出る。
会いたくないな…
何話せばいいかわかんないし…
「はぁ…」
今日2度目のため息。
どうしよう…
「おい、」
「うわっ!!」
すると、突然誰かに肩を掴まれる。
それに驚いて、大きな声が出てしまった。
振り向くと、そこには孝太が立っていた。
「うるせーなぁ。」
「ご、ごめん。びっくりして…。」
「おまえ、どうしたの??顔色悪いぞ??」
顔を見られたくなくて、俯く。
顔色が悪いのは、たぶん篠原との電話が原因だろう…
まじであの写真がバレるのだけは避けたい。
「大丈夫、平気。」
なるべく平常心を装って話す。
「夕貴。」
「ん??」
孝太に名前を呼ばれて顔を上げる。
バシッ
「いてっ!!」
孝太からデコピンをされる。
睨みあげると、心配そうな顔をしていた。
「言っただろ。頼れって。」
「あ…」
その言葉に胸が温かくなる。
ホント、最高の友達に恵まれてるよな、俺って。
孝太の言葉に微笑む。
すると、孝太も少し安心したような顔をした。
「今から、篠原に会ってくる。」
「え…大丈夫なのか??」
「わかんない。でも、会って話してみようと思う。」
「そっか。」
孝太の優しい声にほっとする。
「あの、だから、授業のことなんだけど…」
「大丈夫。先生にはちゃんと言っとくから。」
「ありがとう。」
俺は、孝太に手を振って、鼓動を高鳴らせながら走り出した。
篠原の待つ空き教室に向かって。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 147