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好き、嫌い、好き 10
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生徒会室に通じる廊下を走る。
生徒会室までもうすぐで。
しばらくすると、生徒会室の札が見えた。
それと同時に、孝太の姿も見えた。
…孝太??
生徒会室の扉は完全に閉められていて。
ドアの前に立っていた。
「孝太。」
声をかけると、こちらに振り返る。
「お、来たな。」
「どうしたんだよ、生徒会室の前で。」
「いや…あのさ、夕貴。」
「ん??」
「今日、おまえと篠原を呼び出したのは、たばこの件について話し合うためなんだ。」
「あっ…」
そうだ。
俺らは、犯人を知っているけど、役員のみんなはまだ篠原を疑っている。
「だから、俺は話し合いには参加しない。」
「え??…なんで??」
「これは、おまえの力で解決しろ。」
「っ!!」
「おまえが解決すべき事件だ。俺と夕貴の2人で解決させても意味がない。夕貴が解決させることに意味があるんだ。」
「孝太。」
「生徒会長として、しっかりな。」
孝太は、生徒会室の扉を開く。
そして、背中を押されて、俺と篠原は生徒会室へと入った。
まるで、"がんばれ"と後押しされているみたいだった。
ガチャッと生徒会室の扉が閉まる。
「会長!!」
みんな、口を揃えて俺を呼ぶ。
すると、みんなの視線が一気俺からに篠原へと変わった。
「あの、会長。篠原がいるってことは、もしかして…」
「あぁ。たばこ事件について話し合うためだ。」
生徒会室内がざわつく。
「じゃあ、やっぱりあの吸い殻の犯人は篠原だったんですね!?」
「え!?いや、それは違う!!」
「え…??違うんですか??」
「あぁ。あの吸い殻は篠原じゃない。」
もう迷わない。疑わない。
堂々と篠原を信じることができる。
「会長はどうして篠原をかばうんですか…??」
「え??」
「どうしてかばうんですか!?」
「いや、それは…」
「本当は、篠原が犯人なんですよね!?」
「それは違う!!」
「じゃあ、証拠は??篠原が犯人じゃないっていう証拠はあるんですか!?」
生徒会役員の1人が声を荒げる。
「おまえだって、篠原が犯人っていう証拠がないだろ。」
「それは…。だって、篠原は柄悪いし、生活態度だって…」
「おい、人を見た目で判断するのはやめろ。」
「うっ…」
「それに、そんなこと言ってるとキリがないだろ。篠原以外にも服装乱してる奴や生活態度が悪い奴はいる。」
「それはそうですけど…。でも、最近の会長なんかおかしいですよ!!」
「え??」
おかしい…??
「前はもっと堂々としていて、昨日みたいに取り乱すことなんて今までなかったのに…。篠原と関わるようになってから、会長変わりました!!」
「っ!!」
「ちょっと待てよ。」
「篠原??」
「な、なんだよっ。」
俺と役員の間に割ってはいる。
今まで、黙ったままだった篠原の口が開いた。
「さっきから、話ずれまくりなんですけど。たばこ事件の話じゃなかったの??」
「それは、」
「それに、役員が会長疑がっちゃダメでしょ。」
「っ!!」
「それから、俺と会長さんは別に仲いいわけじゃないですよ。」
…え??
「ただ、会長さんに服装とか生活態度について説教くらったぐらいですかね。」
「でも、」
「それに!!生徒会長と不良な俺が接点なんかあるわけないでしょ。」
こいつ…もしかして。
また俺を助けようとしてるのか??
俺をかばおうとしてるのか??
バカだろ…
ホント、バカだ…
「だから、俺と会長さんは、」
「黙れ。」
「え??」「会長??」
「うるさい。いいから、篠原は黙ってろ。」
俺は、篠原の横を通り過ぎ、再び役員の前に立った。
「今回の事件の犯人は篠原じゃない。」
「なっ!!会長!!まだそんなことを…」
「先輩…」
「会長、なんでそこまでして篠原をかばうんですか!?」
「それは…篠原は俺にとって大切な存在だからだ。」
「え…??」「夕貴、先輩…。」
「それに、今回の犯人は俺と孝太が知っている。」
「え??」
「だから、俺と孝太できっちり話をつけるから、もうこの事件の話は今日で終わりだ。」
生徒会室内がざわつくなか、「以上、これで話し合いを終了する。」と付け加えて、生徒会室の扉を開く。
視線を横に向けると、壁に背中を預けて立っている孝太がいた。
「夕貴。今日の話し合いは完璧だ。」
「孝太…。ありがとう。」
孝太は優しく微笑む。
だから、俺も自然と頬が緩んだ。
「あっちのほうもしっかりやれよ。」
「え??」
何のことだ…??
孝太は俺の後ろのほうを指差す。
それにつられて、後ろに視線を向けた。
「あ…」
そこには、篠原の姿が。
「先輩。」
腕に篠原の手が触れる。
「な、何??」
「ちょっと、来てください。」
篠原に腕を引っ張られる。
前は、抵抗していただろう。
でも、今は逆に俺も篠原と2人きりになりたい…
そう思った俺は、大人しくそれに従って、篠原についていく。
後ろのほうでは、悲鳴と罵声が響いていた。
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