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悪の罠 02
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「はぁ…」
また、篠原のペースに流された…
机の上に俯く。
「はぁ…」
そして、またため息を1つ。
「今日もため息ばっかだな。」
「孝太…」
顔を上げると、目の前に孝太の姿が。
孝太は俺の前の席に座り、頬杖をついて、視線をこちらに向けた。
「また、篠原に呼び出されてたのか??」
「あぁ…うん。」
「毎日毎日ご苦労さまです。」
他人事みたいに言う孝太。
そんなこと思ってないくせに。
「そう思ってくれてるなら、助けてくれてもいいんじゃないか??」
「えー、やだよ。嫉妬の矛先がこっちに来るじゃん。」
おいおい…
でも、孝太の顔を見ればすぐにわかる。
本当に嫌だということが。
すると、孝太の顔が嫌な顔から一変する。
「あ、そういえば今日って生徒会の仕事あるっけ??」
孝太の言葉に、篠原のケンカのことが頭をよぎる。
「いや、ないよ。」
「そっか。」
心のモヤモヤが大きくなる。
孝太に聞いてみるか…
生徒会長として…
「あのさ、孝太。」
「んー??」
「うちの生徒がケンカしたの…知ってる??」
「いや、知らないけど。…もしかして、篠原と関係あんの??」
「うん。なんか、あいつケンカしたみたいで…」
「へー、そうなんだ。」
「うん…」
「心配??」
「え!?いや、別にそんなんじゃ…。俺は、生徒会長として、」
「本当に??」
「え??」
「本当に生徒会長として聞いてんの??」
「それは…」
孝太の一言に言葉が詰まる。
何も答えることができない。
言えばいいのに。「そうだよ。」って。
ただそれだけなのに…
俺は何も言えなかった。
それはおそらく、自分でも気づいている。
生徒会長として言ってるんじゃないってことに。
本気で心配しているってことに。
…俺の中で篠原が変化していることに。
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