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悪の罠 14
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体操服に着替え終えて、ブラシを手に持つ。
そして、プールに行こうと扉のほうに向かおうとしたとき、俺が開ける前に扉が開いた。
目の前には、目を疑う人物。
「篠原…」
俺の目の前には篠原が立っていた。
何も言わないまま、一歩一歩近づいてくる。
俺も、一歩一歩後ずさった。
篠原が更衣室に入ると、扉が閉まる。
そして、俺のほうを向いたまま、鍵をガチャリと閉めた。
「なんだよ…。そこ、どけよ。」
「嫌です。」
「いいから、どけって!!」
「嫌です。」
なかなかどかない篠原にイライラが募る。
このままじゃ拉致が明かないと思った俺は、篠原の横を通り過ぎようとしたが、篠原に腕を掴まれた。
「離せ。」
「嫌です。」
「離せよッ!!」と大きな声を上げて、振りほどこうとするが、なかなか振りほどけない。
「なんなんだよ!!もう、意味わかんねーよ!!」
篠原がわからない。
「何がしたいんだよ!!」
篠原がわからない。
「そんなに俺のことが嫌いなのかよ!!」
「ッ!!」
篠原がわからない。
「それなら、もう関わるなよ!!俺も関わらないようにするから!!」
「うるさいッ!!」
「いたッ!!」
俺は、いつのまにか、壁に追い込まれていた。
篠原が掴んでいた腕がヒリヒリと痛む。
おそらく、腕を乱暴に引っ張られたのだろう。
「何すん、んんッ!!」
篠原からのキス。乱暴で、気持ちがない無意味なキス。
「やめ…んぁ…んんッ…や、やめろッ!!」
思い切り突き飛ばす。
「はぁ…はぁ…何すんだよ…。」
目の前で篠原は頭を打ったのか、「いててっ…」と言って、擦っている。
「嫌いならこんなことすんなよ!!」
「嫌い…??誰がそんなこと言ったんですか??」
「だって、」
「言ったでしょ。俺は先輩が好きなんですよ。」
「っ…」
じゃあ、なんでこんな乱暴なことをするんだよ…
なんで何も教えてくれないんだよ…
なんで頼ってくれないんだよ…
なんで…こんなに俺を不安にさせるんだよ…
「……んねーよ。」
「え??」
「おまえがわかんねーよ…」
「先輩…??」
「もう俺にはおまえがわかんねーよッ!!」
篠原を置いて、更衣室を出る。
後ろのほうでは、「先輩ッ!!待ってッ!!」という篠原の声が聞こえた。
それを無視して、走り続ける。行く当てもなく。
「っ!!」
すると、誰かに腕を掴まれた。
振り返ると、俺の腕を掴んでいるのは、篠原だった。
「なっ!!」
「逃げないで、先輩。俺から逃げないで…」
息を切らしながら言う篠原。
イライラする。
「なんだよ、それ。だいたい、おまえが、」
「先輩は俺が守るから。」
「…え??」
「だから、俺のこと嫌いにならないで。俺のそばにいて。」
「何言ってんだよ、おまえ…。意味わかんねーよ…。」
俺は軽く篠原の手を振りほどくと、それは呆気なく俺の腕から離れた。
頭がごちゃごちゃで何がなんだかわからなくなった俺は、篠原を残して、また走り出した。行く当てもなく。
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