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悪の罠 15
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次の日。
結局、俺は昨日の篠原の言葉が気になって、全然眠れなかった。
「ふぁ…」
大きいあくびが出る。眠い。
眠気と闘いながら、廊下を歩いていると、「夕貴!!」という聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると、そこにははるちゃんがいた。
「はるちゃん…」
「どうした??元気ないじゃん。」と言いながら、俺のところに駆け寄ってくる。
「いえ、別に…。それより、どうしたんですか??」
「どうしたんですかじゃねーよ。おまえ、昨日サボっただろ??」
「はい??」
「プール掃除。」
「あ…」
そういえばと思い出した、昨日の出来事。
また、嫌な気持ちがこみ上げてきた。
「昨日、篠原が1人でがんばってたぞ??」
篠原という名前に肩がピクッと反応した。
「そう、ですか…」
「ま、おまえがさ、自主的にサボったとは思えないんだけどさ。一応昨日までっていう約束だし。」
「はい…」
「だからさ、おまえには罰として、校内のケンカについて調査してほしいんだけど。」
「はい……って、え??」
ケンカの調査…??
それって、もしかして…篠原の??
「あの、ケンカの調査って…」
「あれ??知らないの??最近、校内でケンカがあってるって。」
「いや、一応知ってますけど。生徒会でも問題になってますし。」
「でも、生徒会ではただ問題になってるって言ってるだけで、たいして調査してないんだろ??」
確かに、はるちゃんの言っていることは間違ってはいなかった。
問題になっていると言っているだけで、何も行動に移していない。
「それは、まぁ…そうですけど。」
「気になるんだろ??篠原のこと。」
「なっ!!なんで、そのこと…」
「だって、おまえわかりやすいんだもん。」
「え??」
「それに、今回のケンカに篠原が関わってるってことも、先生達は結構気づいてるからなー。」
「そうですか…」
はるちゃんの言葉に俯く。
心配で仕方ない。
すると、俺の頭にふわりと何かがのった。はるちゃんの手だ。
「心配すんな。大丈夫だから。」
はるちゃんが俺に笑顔を向ける。
その笑顔は今の俺にはすごく眩しかった。
「はい…」
「ま、とにかく、これが俺からの罰だから。ちゃんと調査して、何かわかったら俺に報告な。」
はるちゃんは「じゃ、任せたぞー!!」と手を振って、はるちゃんの名前を呼ぶ生徒たちの輪の中に入っていった。
はるちゃんの背中を見送りながら、はるちゃんの言った一言がなぜか頭の中に浮かんだ。
『だって、おまえわかりやすいんだもん。』
「俺って、そんなにわかりやすいんかなー…。」
それくらい、はるちゃんと祐介がわかるくらい、俺は篠原のこと…
でも、俺はまだ…
答えがなかなかでない。
考えてもわからない。
頭の中がぐるぐるする。
そんなとき、祐介の言葉を思い出した。
『おまえは、自分の気持ちに嘘をつくなってこと。』
『もっと素直になれ。んで、自分の胸に手を当てて、聞いてみろ。答えは、自分の胸の中にあるんじゃないか??』
俺は、祐介の言葉を頭の中で何度もリピートしながら、瞼をゆっくり閉じて、胸に手をあてた。
俺はどうしたいんだろう…
自分に問いかけてみる。
すると、すぐに答えが見つかった。
俺は、篠原を助けたい。
閉じていた瞼を開けて、俺は、走り出した。
行くあてなんてない。
それでも、篠原を助けたくて…
俺は、必死に走った。
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