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悪の罠 18
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「何やってんだよッ!!おまえは生徒会長だろ!?会長のおまえが、生徒に暴力振るってどうすんだよッッ!!」
珍しく怒鳴っている孝太。
そんな孝太の姿を見ると、自分がどれだけ情けないことをしようとしたかがひしひしと伝わってきた。
「ごめっ…俺…」
俺はなんてことを…
なんてバカなことをしようとしていたんだろう…
俺は、その場にズルズルしゃがみこんだ。
それに釣られて、孝太もしゃがみこむ。
「篠原のためなんだろ??篠原を助けたくて。それで、目の前の光景を見て、イライラして。感情がコントロール出来なくなったんだろ??」
孝太の言っていることは全部当たっていて。
俺は、その言葉に自然と頷いた。
「別にそれが悪いってわけじゃない。イライラして怒るのは人間だから当たり前だ。でもな、暴力はダメだ。暴力で終わらせようとするのはダメだ。それは、夕貴が生徒会長でも生徒会長じゃなくてもな。」
孝太の言葉が胸に染みる。
痛いくらいに。
「ごめん…」
「もういいって。それより…」
そう言って、孝太は視線を俺から外す。
孝太の視線の先を見ると、男子生徒たちに向いていた。
「こいつらをどうにかしないと…な。」
指をポキポキ鳴らしながら、笑顔で言う孝太。
でも、その目は全然笑っていなくて。
「あの、孝太。怖いんだけど…」
「んー??何が??」
だから、その笑顔がだよ…
男子生徒たちも俺が怒鳴ったときよりも顔を真っ青にしていた。
微かに体も震えていた。
「さてと。君たちは、俺と一緒に生徒会室に来てもらおっか。」
しゃがんでいた孝太が立ち上がって、生徒たちの目の前まで足を進める。
「じっくり話を聞いてあげるからさぁ。」
生徒たちは、「ひっ!!」と言って、怯えていた。
「あ、じゃあ俺も手伝うよ。」
そう言って、立ち上がり、孝太の元に足を進めると、「夕貴は篠原を頼む。」と言う孝太の言葉に足を止めた。
「え??」
「篠原を頼むな。」
孝太は俺の肩にポンッと手を置いて優しく微笑んだ後、生徒たちを連れて行ってしまった。
この場には俺と篠原の2人きり。
それが妙にドキドキした。
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