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繋がる想い 05
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下げていた頭を上げる。
真っ先に視線に入ったのは理沙の顔。
何とも言えない複雑な表情をしていた。
「だから、お願いだから…もう誰も傷つけないでほしい。」
「夕貴…」
理沙は今にも泣き出しそうな顔をした。
反省してくれているのだろうか。
そんな表情に変わっていた。
「だからもう…篠原を傷つけないでほしい。」
だけど、そう言った瞬間、また表情がガラッと変わった。
「なんで、篠原篠原って…。あたしと一緒にいるのに篠原ばっかり…。」
「り、理沙…??」
黒い表情。恨み、妬み、怒り。それが全て混ざり合った目。
「ねえ、夕貴。夕貴はさ、篠原のことどう思ってるの??」
「どうって…」
「嫌い??それとも…好き??」
好きだ。もちろん、好きだ。
だけど、ここで好きだって言ったら…
理沙が篠原に何をするかわからない。
だけど、もう逃げないって決めたんだ。
闘うって決めたんだ。
自分の気持ちを言うって決めたんだ。
もう逃げたくないんだッ!!
「好き。」
「え…??」
「好きだよ…。俺は篠原が好きだ。」
まっすぐ目を見て。
迷いのないまっすぐな気持ちをのせた目で理沙を見る。
「じゃあ、あたしは??あたしのことは??」
「理沙のことも、もちろん好きだよ。」
「じゃあ、」
「でも、恋愛感情としての好きじゃない。」
「ぇ…」
「篠原の好きは、恋愛感情としての好きだ。でも、理沙の好きは、友達としての好きなんだ…。」
「……」
「ごめん、理沙…。」
俯いて黙り込む。
もう伝えたいことはちゃんと伝えた。
だから、もう俺にはどうすることも出来ない。
理沙がちゃんとわかってくれるしかない。
「…な…るさ……い…」
「え??」
ぼそぼそと呟き始める理沙。
でも、その声はあまりにも小さすぎて、何を言っているのか聞こえない。
「ゆ…さ……る…い……ゆ…」
「ごめん、理沙。聞こえない、」
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない、」
「理沙!?」
「許さない許さないッ!!!絶対許さないッ!!」
目の前にあったテーブルが理沙の手によってひっくり返る。
コーヒーが入ったマグカップはテーブルの下敷きになって割れ、カーペットに黒いコーヒーのシミが出来る。
ガンッという鈍い音も響いた。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない、」
「理沙、落ち着けッ!!」
「許さない許さない許さないッ!!!」
立ち上がって、理沙の近くに座る。
背中に手を置いて、落ち着かせようとした。
「おい、」
「許さないッ!!!」
すると、すごい力で胸ぐらを掴まれた。
「理沙、」
「許さないッ!!夕貴も篠原も!!絶対許さないッ!!」
「落ち着け、理沙ッ!!」
「なんでよ!!」
「え??」
「なんであたしじゃなくてあいつなのよッ!!」
「理沙??」
「こんなにも好きなのに…」
ボロボロと涙を流し始める。
それでも、手の力は変わらなかった。
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