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ドキドキ文化祭 10
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「ご指名ありがとうございます。夕貴です。」
指名をしてくださった客に一礼して、顔を上げた。
「あ…」
「夕貴先輩。」
俺の目の前には篠原が座っていた。
「おまえ、なんで…」
「行くって言ったじゃないですか。」
そういえば、そんなこと言ってたな…
忙しすぎて忘れてた。
「俺、休憩入ったんで、ここに来たんです。でも、すっごい行列でびっくりしましたよ。」
「そっか。」
俺は、篠原の隣に腰掛けた。
「何か飲むか??って言っても、ジュースしかない……篠原??」
俺が飲み物の用意をしている途中で俺の手に篠原の手が重なった。
「あの行列…ほぼ先輩目当ての客なんだって…。」
「そ、そうなんだ…。」
これは…嫉妬…なのか??
「あの、篠原…」
「すみません、また嫉妬です。」
はぁ…やっぱり。
「でも、これは文化祭で、相手もただの客なんだし。別に何も…」
「わかってます!!そんなの頭ではわかってる!!だけど…」
篠原の心の中から出た本音。
俺は、こんな大きな声を出した篠原を初めて見た。
「篠原…」
「この手を外したら、どっかに行っちゃう気がして…」
こいつは…
なんて不器用な奴なんだろう…
出会いのときはあんなに堂々としてて、俺のことを転がすように操って脅してたのに…
なんなんだろうな、こいつ…
「あの、篠原…」
俺が篠原に声をかけようとしたとき、「夕貴、ご指名だ。」タイミングよく孝太が指名が入ったことを知らせに来た。
「あ…」
篠原のほうを見ると、俯いていて、よく顔が見えない。
「夕貴、早く行け。」
孝太の言葉に仕方なく、席を立つ。
「あとで、ちゃんと話しよう…」
俺は篠原にそう告げて、次の指名した客のところに向かった。
「ご指名ありがとうございます。夕貴です。」
「きゃー!!!!かっこいい!!!!」
「夕貴くーん!!!!」
甘い女の声が店内に響き渡る。
「失礼します。」
俺は、女の横に座り、飲み物を手早く作る。
隣では、2人の女が話している。
でも、その話さえ頭には入ってこない。
篠原の言葉が頭の中を支配している。
ダメだ…
集中しないと…
俺は、適当に相槌をうって、客の話に合わせた。
…にしても、この客…。
ボディータッチが激しいな…
まぁ、他の客もすごかったけど、この客は特にすごい。
こんなとこ篠原に見られたらやばいだろうな…
こんなときでさえ、篠原のことが頭に浮かんでしまう。
考えたくないのに…。
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