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問題だらけの勉強会 08
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「んっ…」
目が覚めると、俺の肩には毛布がかかっていて。
目の前は朝日と教科書。そして、置手紙。
俺、あのあと寝ちゃったのか…
あれ、そういえば…
部屋中を見渡すが、篠原の姿はない。
あいつ、どこ行ったんだろう…
そして、俺は置手紙に目を向けた。
<ちょっと、走ってきます。朝走るのが日課なので。先輩はゆっくりしていてください。 篠原>
あいつ、毎朝走ってんのか…
えらいな…
また1つ篠原の知らないことを知ることができた。
それがまた俺の感情を動かす。
そんなとき、俺の携帯が鳴った。
誰だ、こんな朝から…
着信相手は孝太だった。
俺は、着信ボタンを押し、耳に携帯を当てた。
「もしもし、孝太??」
『夕貴!!今すぐ学校に来てくれ!!』
「え、どうした??」
『いいから早く!!』
珍しく、孝太は焦っている様子だった。
なぜか胸騒ぎがする。
何か嫌な予感が頭をよぎる。
俺は「わかった。」と言って、部屋を飛び出し、生徒会室に向かった。
____ ___ __
「孝太!!」
孝太の名前を呼んで、勢いよく扉を開ける。
目の前には、孝太以外にも他の生徒会役員が全員揃っていた。
「どうしたんだ??」
俺がそう聞くと、1人の生徒会役員が俺の前に来て、何かを俺に差し出した。
「これ…」
俺が目にしたのは、吸い終わったたばこ。
「寮の敷地内に落ちていました。まだ温かいので、おそらく今朝誰かが吸っていたんだと思います。」
「…そっか。」
「どうしますか、会長。」
「……」
俺の頭の中で、ふと篠原の顔が思い浮かんだ。
いや、まさか…
そんなことはありえない。
だって、あいつはもう不良なんかじゃないし…
俺の言ったことは守ってきたんだ。
絶対に違う。
違う違うと何度も自分に言い聞かせる。
そうでもしないと、あいつを疑ってしまう自分がいて…それがとても怖かった。
「会長??」「夕貴??」
みんなの声にはっとする。
「この件は調べて、後日また話し合おう。とにかく今日はもう寮に帰っていいぞ。」
「「「「「わかりました。」」」」」
そう言うと、みんな一斉に俺の横を通りすぎていく。
すると、ある1人の声が耳に入った。
「どうせ、篠原だろ。」
俺はその声に、反射的にそいつの腕を掴んだ。
「か、会長!?どうしたんですか!?」
俺の行動にみんな足を止めて、一斉に俺のほうに視線が集まる。
でも、そんなこと気にしていられないくらい頭に血が昇った。
「おまえ、さっき何て言った??」
「っ!!」
そいつは、しまったというような顔をした。
「さっき、どうせ篠原がやったんだろって言ったよな??」
「…はい。」
「なんで…なんで篠原がやったって決めつけんだよ!!」
俺は怒りを抑えられなくなり、咄嗟に胸ぐらを掴んだ。
「ゆ、夕貴!!」
それを見た孝太がすかさず止めに入った。
「落ち着け、夕貴!!」
「でも!!」
「…会長も思ってるんじゃないですか??」
「…え??」
そんなとき、1人の声が生徒会室に響いた。
声のするほうを見ると、さっき胸ぐらを掴んだ奴とは違う奴が言っていた。
「篠原がやったって心のどこかで思ってるんじゃないんですか??」
その言葉が胸に刺さる。
違う…違う…!!
そう何度も自分に言い聞かせる。
「会長…。すみませんが、俺も篠原がやったとしか思えません。」
「俺も…。だって、篠原以外にこんなことする奴なんていませんよ!!」
それでも、みんなの言葉は俺の心を動かす。
違う…違う…!!
でも、もしかしたら…そうなのかもしれない。
俺は何を信じればいいのかわからなくなってしまった。
「会長、何か言ってください!!」
「会長!!まだ、あいつをかばう気ですか!?なんで、あいつをかばうんですか!?」
なんで…??
ホント、なんでだろうな…
俺にもわからない…。
それでも、あいつを信じたかった。
俺は、言葉を発そうとした。
でも、みんなの言葉に圧倒されて、なかなか声が出なかった。
すると、孝太が「ほら、この件は後日話し合うってことになっただろ??篠原には俺と夕貴で聞いとくから。ほら、帰った帰った。」と言って、みんなを帰らせた。
「ごめん、孝太…。」
みんなが帰った後。俺と孝太の2人だけの生徒会室で、俺だけの声が響く。
この謝罪は孝太に対しての謝罪じゃない。
篠原に対しての謝罪なんだ…
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