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問題だらけの勉強会 09
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「俺は篠原はやってないと思ってるよ。」
俺のそばに来て、優しく俺の背中をさすりながら言う孝太。
どうして、そんなに自信もって言えるんだよ…
不思議でたまらなかった。
「だって、篠原はおまえと一緒だっただろ??」
「え??」
孝太の言葉に下げていた頭を上げた。
「昨日からお泊まり勉強会してたじゃん。」
確かにしてた。
一緒だった…昨日の夜までは。
「今朝、目を覚ますと篠原の姿がなかったんだ…」
「え??」
俺の言葉に驚きを隠せないでいる孝太。
「起きたら、置き手紙が置いてあって。走るのが日課だから、走ってくるって…。」
「……もしかして、夕貴…篠原のこと疑ってんの??」
「っ!!」
孝太の言葉が胸にグサッと刺さる。
何も言い返せない。
だって、疑っていないと言えば嘘になるから。
「夕貴…おまえが篠原信じなくてどうすんだよ!!」
「俺だって信じたいよ!!信じたいけど……俺もわかんないんだよ…。」
無言の時間が続く。
聞こえるのは、部活動生の声と鳥の鳴き声。
そんなとき、俺の携帯が鳴った。
着信相手は篠原。
その文字を見て心臓がドクンと跳ねる。
「誰から??」
孝太のかすれた声が聞こえた。
「…篠原から。」
言うのを躊躇いながらも俺は正直に答えた。
「出なくていいのか??」
「……」
「このままでいいのか??」
「……」
「……おまえはまた逃げるのか??」
このままあいつから逃げたらどうなる…??
もう一緒にいられなくなるのか…??
あの2人だけの空間がなくなるのか…??
考えれば考えるほど、篠原と離れることが苦しいほど嫌だと思った俺は、携帯を開いて通話ボタンを押し、携帯を耳にあてた。
『もしもし、先輩!?よかったー、繋がって!!何度かけても繋がらないし、部屋にもいないから心配したよ。』
「……」
『先輩??』
いざ、篠原の声を聞くと、余計何を言ったらいいのかわからなくなった。
『先輩、今どこなんですか??』
「……」
『何かあったんですか??』
「篠原…」
俺は、必死に声を絞り出した。
「話が…あるんだ。だから…俺の部屋で待っててくれないか…??」
俺は、途切れながらも、必死に篠原に伝えた。
そんな俺に何かあったのだろうと気づいたのか、篠原は真剣な声で一言「わかりました。」と言うと電話が切れた。
「今から、あいつと話すのか??」
「うん…。あのさ…孝太も付いて来てくれないかな…??」
「え??」
「俺だけじゃ怖いから…」
あいつが何て言うのが怖い…
出来れば聞きたくないくらい。
孝太は少し考えた後、「わかった。」と優しく微笑んだ。
その笑顔を見て、少し心が軽くなった俺は、孝太と一緒に俺の部屋に向かった。
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