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問題だらけの勉強会 10
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俺の部屋の前。
俺は、部屋のドアにゆっくり手をかけた。
すると、自分で見てもわかるくらい手が震えていた。
「夕貴、大丈夫だ。」
俺を落ち着かせようと、孝太の手が俺の手に重なった。
その瞬間、少し緊張と恐怖、不安が和らいだ気がした。
「ありがとう、孝太。」
お礼を言って、俺は孝太と一緒に部屋のドアを開けた。
ドアを開けると、ガチャッという音がした。
その音に気づいたのか、篠原が玄関まで走ってくる。
「先輩…ってあれ??孝太先輩??」
「どーも。」
孝太は、普段どおり接しているみたいだ。
俺はというと…
「先輩、おかえりなさい。」
「あ、あぁ…」
「どこ行ってたんですか??」
「いや、その…」
「置き手紙、読みましたか??」
「え、あ、その…うん。」
孝太みたいに普段どおり接してあげられなかった。
別に、篠原を嫌いになったわけじゃない。
俺だって、普段どおり接したいと思ってる。
でも、やっぱり頭の中はあの件のことでいっぱいで…
どう接したらいいかなんてわかんなくて…
篠原とどう接していたかもわかんなくて…
俺の頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「あのさ、篠原。今日はおまえに聞きたいことがあるんだ。」
そんな俺に気づいた孝太が、俺の代わりに話を進めてくれた。
俺は、ホントこいつが副会長でよかったと思ってる。
てか、俺が会長より、孝太が会長のほうがよかったんじゃないかって思うこともたびたびある。
「聞きたいこと…ですか??」
「ま、ここでって言うのもなんだし、部屋で話そう。な、夕貴。」
突然話をふられて、肩がビクンと震えた。
「あ、うん…。そうだな。」
俺は孝太を招きいれ、篠原と一緒に部屋に向かった。
そして、俺と孝太が隣に座って、篠原は俺たちと向かい合わせに座った。
「で、話ってなんですか??」
さっそく篠原が話を切り出す。
生徒会長なんだから…
俺がちゃんと言わないと…
そんな意地とプライドと責任感が混ざり合って、俺は口をゆっくりと開いた。
「篠原。おまえ、今朝何してた??」
「え??」
俺の言葉に驚く篠原。
驚くのも無理ないだろう…
急にこんなこと聞かれたら、俺だって驚く。
「先輩、もしかして今朝目が覚めたとき、俺がいなくて寂しかったんですか??」
少しふざけた口調で言う篠原。
いつもなら、「ふざけんな!!そんなわけないだろ!!」とか、顔を真っ赤にして恥ずかしがってただろう。
でも、今の俺にはそんな余裕すらなかった。
「……お願いだから、ちゃんと答えてくれ。」
俺の今にも消えそうな擦れた声。
でも、篠原にはばっちり聞こえていたらしく、「わかりました…。」と、さっきのふざけた口調とは真逆の真剣で落ち着いた口調で言った。
「今朝は、手紙に書いてた通り、走りに行ってました。毎朝の日課なので。」
落ち着いた口調で何事もないように淡々と話す篠原。
「それは本当なんだな??」
それに俺は聞き返した。
なぜか、頭の中で聞き返さないと…と思ってしまった。
それは、おそらく篠原をまだ100%信じ切れてないことの現われだろう。
聞き返して否定しなかったら、信じることができるかもしれないという俺の小さな期待があった。
「本当ですよ。」
その言葉に、少しホッとした。
でも、篠原は眉間に皺を寄せて、不服な顔をしていた。
「…あの、さっきから先輩変ですよ??何かあったんですか??」
その言葉に胸がドクンと跳ねる。
ここまで聞いて…おまけに、様子が変だと気づかれて…篠原にはきちんと話すべきなのかもしなれない。
そう思った俺は、あの件について話すことにした。
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