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「千秋ちゃん」
「何?」
「やっぱり何でもない」
いつもこの調子だ。
俺が返す言葉に困ると香月は、ははっと笑う。
本当に謎が多くて変なやつだ。
友達はいるのかと心配になるが、一応いるらしい。
「ねぇ千秋ちゃん」
「今度は何?」
「千秋ちゃんって温厚そうで優しいよねー」
「そう?」
「うん。それでみんなから好かれてて人気者でさ。かっこいいし完璧だ」
こいつはいきなり何を言い出すのだろう。
「何それ」
「思ってたこと言ってみただけ、そんな千秋ちゃんを今独り占めしてる」
「あぁ、そう」
こいつといるとなんだか調子が狂う。
なんだかんだで俺は伊織の不思議な雰囲気に飲み込まれ振り回されている気がする。
しかしそれももう終わり、
昼休み終了5分前のチャイムが鳴る。
「もう時間……じゃーね千秋ちゃん!」
「うん」
チャイムがなると潔くベッドから降りて出て行く。
いつもなら
それなのに今日はドアの前で立ち止まっていた。
「どうした?授業始まるぞ?」
「あのさ、千秋ちゃん…」
「なに?」
伊織は振り向かない。
「もし、」
そう言ってまた無言になる。
「どうしたの?」
「ううん、やっぱりなんでもない!」
伊織は振り向いていつもの笑顔でバイバイと保健室を出て行った。
「なんだったんだ?」
続く言葉が気になってモヤモヤする
今日はいつにもまして変なやつだった。
「あーー!なんだよー気になるだろー」
俺は勝手にさせてるようで本当は少し放っていけない。
あいつがここにくるようになってもうすぐ一年。
ほぼ毎日顔を合わせている。
それなのに俺はあいつのことは全然知らない。
謎なやつなのだ。
保健室の先生と生徒という、それだけの関係。
のはずだけど本当にただそれだけかと言われれば少し違う気もする。
やっぱり俺はあいつがよくわからない。
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