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「泣かないで」
そう言いながら、昴の指が涙を拭う。
その手に自分の手を重ねて、笑顔になってみせる。
「うん」
へら、と笑って。そうすると、昴が優しく微笑んだ。
「食べようか。お腹空いたでしょ?」
ギシ、とスプリングを鳴らして、立ち上がる昴。俺も続いて起き上がる。
腰に力を入れてしまって、忘れていた重い痛みが俺を襲った。
「いっ・・・てぇ・・・・、」
「、大丈夫!?」
小さく声を漏らすと机の前まで歩いていた昴が駆けつけてきた。
俺の隣に座って、腰を摩る。ありがたいと思いながらも、少し気恥ずかしい。
昴は不安そうに「ごめん」と謝る。
この痛みは昴のせいじゃない。
俺は昴を受け入れたくて受け入れたんだから、絶対に。昴のせいじゃないよ。
「そんなに気ぃ使うな馬鹿」
コツ、と額をくっつけて言う。
昴はいつもこうして安心させてくれるから、俺も真似をしてみた。
「俺は昴が好きで、昴を受け入れたんだから」
「・・・・、」
「昴のせいじゃないよ」
「・・・・うん」
「謝ることない」
「うん」
安心したように ふ、と微笑む。その笑顔に俺も安心して笑う。
二人で安心したところで、関係ないけれどお腹が空いた。もうペコペコだ。
「腹減った」
「ん、あぁごめん。今持ってくる」
「俺がそっちまで行くよ、」
「だめ。動くな」
昴が珍しく命令口調。それだけなのに威圧感が半端無くて、口が勝手に「はい」と言っていた。昴はそれにふふ、と笑って、料理の乗ったお盆をこちらに持ってくる。
昴が近づくにしたがって食欲をそそるいい匂いが鼻を通った。
「うまそう」
「普段甘い卵焼きなんて作らないから、焦がさないように頑張ったよ」
「はは、ありがとう」
「僕が食べさせてもいい?」
「え。何言ってんの」
「これずっと妄想してたんだ」
「変態」
「変態で結構です。はい、あーん」
「ちょっ、」
「ほら、食べて食べて」
「んむっ!」
無理矢理口に入れられた卵焼きを味わう。甘い味が、口の中いっぱいに広がった。
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