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母さんと父さんの話によると、俺は昴の家で39度の高熱を出したらしい。
それから、圭一さんが二人に連絡してくれて。
待ってる間に病院に連れて行ってくれて、俺を家まで車で送ってくれたらしい。
(優しい人だなぁ・・・・・)
病院にまで連れて行ってくれるなんて。本当に優しい人だ。
(・・・・昴・・・・・・・・)
声にできない、その名前を。
一人になった部屋のベッドの上で、温かい布団に包まりながら。
(圭一side.)
海斗くんを家まで送った後。昴くんは酷く憔悴していた。
「昴くん」と声をかけても返事をしてくれないし、ご飯を作ってもいらないと言って部屋に篭る始末。
「・・困ったなぁ・・・・・・」
高熱を出した海斗くんを心配しているのもあるだろうけど、きっとそれだけじゃない。
きっと昴くんは、何も出来なかった自分を責めているんだ。
・・・・わかる。わかるよ。
大好きな人だから。とても、大事な人だから。
どうしたらいいのかわからなくなるのは、当たり前で。
必要以上に焦ってしまうのは、当たり前で。
だから、責めることはないのだけれど。
「・・・せめてご飯は食べて欲しいよねぇ、美紀」
写真の笑顔に語り掛ける。
こういう時、美紀なら、無理矢理にでも食べさせるんだろうな。
僕もそうするべきなのかもしれない。だけど、
(勝てる気がしないよ・・・・息子には)
なんだかんだ言っても、甘いんだ。
僕の、たった一人の息子だから。
好きなだけ悩むといい。
若い内に、たくさん悩んで、たくさん泣いて。
そうすれば、もっともっと大切な存在になるから。
「・・・・・・困ったな」
このままご飯を食べてくれなかったらどうしようと思いながら、ふっと笑って。
さて。今日の晩御飯は、なんのメニューにしようか。
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