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母さんと父さんが帰って来てくれて、嬉しい。
でも、それだけ。
開いた穴を、欠片も埋めることは出来なくて。
だめだ。
だめなんだ、昴じゃないと。
昴じゃないと、満たされない。
だけど。
「・・・・・・ごめん・・・・」
無理、だから。
なぁ、俺、逃げるよ。
これが正しい道だとは思ってない。
だって、間違ってるから。
逃げることは、間違ってるから。
間違ってるから、逃げる。
ごめん。
ごめん。
ごめん。
ごめんなさい、圭一さん。
幸せにしてあげてって、言われたのに。
せっかく許してくれたのに。
会ったばかりの俺に、息子と付き合ってる、男なのに。
優しく、してくれたのに。
ごめんなさい。
俺、覚悟できなかった。
ごめんなさい、昴のお母さん。
救いたかった。助けたかった。
昴が壊れないよう、支えたかった。
でも、ごめんなさい。
このままじゃ、貴方の子供を不幸にしてしまうんです。
ごめんなさい、父さん、母さん。
俺、馬鹿だった。
二人みたいに優しく、強くなりたいと思ってた。
ごめん。
俺、馬鹿だから。
優しくもなれないし、強くもなれなかった。
こんなだめな息子を、愛してくれてありがとう。
ごめん、鎮。
そういえば、前に海行こうって言ってたよな。
ごめんな、あれ、忘れてた。
昴のことしか、考えられなくて。
お前にはいつも世話になったな。
隠し事なんて、お互いに無かった。
なのに、ごめん。
鎮に、隠し事、した。
それから。
「・・・・・・・・・ごめん・・ごめん・・・・っ」
ごめん、昴。ごめんな。
好きだって言ってくれたのに。
愛してるって、言ってくれたのに。
その気持ち、全然大事にできなくて。
ごめん。弱くて、ごめん。
一人にしたくなかった。
独りにしたくなかった。
だって、そうしたらまた壊れちゃうだろ?
もう、辛い思いはしないで。
悲しい気持ちにならないで。
・・・なんて、こんなこと言っても、説得力無いかな。
結果的にお前を独りにするのは、壊すのは。
俺、だから。
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