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「ぅ・・・・・で、も・・・・、」
昴が手を握ってくれてる。嬉しい、けど・・・・・。
「だ、誰かに、見られたら・・・・・・」
手を繋いで歩いてるところなんて見られたら、完璧にゲイだと思われてしまう。
いや、俺は正真正銘のゲイなんだけど。
なんだか、嫌だった。
「あぁ・・・前から嫌がってたね、そういえば」
思い出したようにそう言えば、昴はあっさりと手を離した。
「ぁ・・・・・、」
離れた手をじっと見る。名残惜しくて、触れたくて。自分から拒否したのに後悔した。
俯いていると、そんな俺の気持ちを察したのか、頭をするり、と優しく撫でられて。
「大丈夫。海斗の気持ちはわかるから」
ふわり。体が浮くような笑顔で、そう言われた。
「・・・・・ん。ごめん」
「いいよ。そのかわり、僕と過ごす時間をもっと増やしてくれる?」
「ぇ、」
「僕達はクラスも離れてるから、中々会えないでしょ?海斗は友達と話していたいだろうし」
その言葉に耳を疑った。友達と話してもいい、のか・・・・?
前はあんなにダメだと言っていたのに。
「い、いのか・・・・?」
「ん?・・・・あぁ、もちろん。あれは海斗が僕以外の奴を好きにならないようにするためだからね」
言いながら、昴は額をくっつけて。
「今は海斗がちゃんと僕を好きって、わかってるから」
目の前に昴がいる。少し動けば唇が重なる距離。
風が吹くたびに昴の前髪が当たってくすぐったい。
そんな些細なことを幸せだと思えるのは、昴を好きになったからか。
「犬みてー」
「誰が?」
「昴が」
「それは海斗じゃないの?」
そんなことを話しながら歩く。爽やかな風が頬を掠った。
俺達は人前ではただの”友達”。恋人同士じゃない、友達。
距離が近すぎると触れたくなるから、人一人分の距離で歩いた。
その距離が、少し、淋しい。だけど、幸せだ。
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