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「佐伯」
休み時間。いつものように友達と騒いでいると、後ろから声を掛けられた。振り向くと、無愛想な顔の野口先生が立っていて。
野口先生に気付いた鎮はすごい勢いで教室の隅に走る。・・・・どんだけ嫌いなんだ、あいつ。
「なんですか?」
「今日の放課後、第二生徒会室に来い」
「え?」
「今日は会議があるからな」
そう言い残し、野口先生は教室から出て行った。
・・・・え、生徒会室?なんで俺が・・・・。
生徒会室には学校行事などの予算が置いてあるので、教師と生徒会役員以外は立ち入り禁止になっている。まぁ、大事なものは全部金庫に入れてあるから盗まれることはないんだけれど。
俺は生徒会役員になったことがないから、高校に入学してから一度も入ったことがなかった。
「え、お前生徒会入ったの?」
いつまでも状況が飲み込めない俺に、鎮は肩を叩きながら聞く。・・・いつ戻ってきたんだよ、お前。
「や、入ってない、んだけ、ど・・・・・」
本当にどうして呼ばれたのだろう。
生徒会なんて入ってないし、入ろうとしたことすらないのに。
「生徒会?」
まだ生徒会の仕事が終わってないと言う昴を無理矢理連れ出し、俺が会議に出ろと言われた理由を聞いた。
やっぱりここは生徒会長に聞くのが一番だろう。・・・・・べつに、本当に、決して。昴と話したかったわけじゃない。
昴は何かの記録をまとめていたのか、手にファイルを持ちその上でメモを取っていた。視力が悪いのか、黒縁のメガネを掛けていて。それがまぁ、・・・・・ものすごく似合っていたわけだけど。
「お前、本当に生徒会長なんだな・・・・」
「そうだよ。どうしたの、今更」
ファイルのページを捲りながら伏し目で言った。話している間でも生徒会の仕事をこなす姿は、まさに”生徒会長の鏡”だった。
「それで、今日は海斗も会議に出るんだって?」
言いながらファイルを閉じて片手でメガネを外す。顔を上げた昴の表情は、さっきの真剣な表情とは全く違って。
いつものように、優しげな笑顔を俺に向けていた。
「そう!なんで俺が会議に出なきゃなんねぇの!」
「海斗が生徒会役員だからでしょ」
「俺生徒会入った覚えないんですけど!?」
「当たり前でしょ?」
首を少し横に傾けて、ニッコリと笑う昴。
「僕が勝手に入会希望書出したんだから」
にこにこ、にこにこ。
昴がこんな笑顔の日は、きっと碌な目に合わない。
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