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しばらく耐えていた。
叩いても押しても、何をしても無駄だとわかったから。
頭の中は、嫌だとか、やめろとか、そんなことばかり。
昴の顔を思い出しては罪悪感に襲われた。
せっかく好きだと言ってくれたのに。俺はこいつに抵抗することさえできない。
こんな奴、すぐ嫌われる。他の奴とキスしたことを知られたら絶対に嫌われる。
そう思ったら、ぼろぼろと涙が溢れた。
だけどさすがに藤間も舌が疲れたのか、唇を離した。
「・・・・・・なに泣いてんだよ。うぜぇ」
荒いキスが終わって、息切れと嗚咽で苦しい。嫌だ。こんな奴の前で声を上げて泣きたくない。
「っ・・・・・ぅ、ひっ・・・・・、っはぁ・・・・・・・、」
「まじ女みてぇ」
「っ、ふ、ざけんな!!」
ふ、と楽しそうに笑う藤間を見て、俺の中の何かが切れた。そして、気付いたら藤間の頬が赤くなっていて。
俺は藤間を殴ってしまったんだ。
「・・・・・・なにしてくれてんの」
顔をあげた藤間の目は明らかに怒りを含んでいて。その目が怖くて息が詰まった。
「ぁ・・・・ご、めん・・・・・」
小さく掠れた声で謝ると、藤間は はぁ、とため息をついて「別にいいけど」と言った。
「なァ、佐伯」
「・・・・・」
「お前、ゲイなわけ?」
さっきも聞かれたその言葉。なんて答えたらいいのかわからず、ただ固まって黙っていると。
「相手は、早坂?」
「・・・・ぇ・・・・」
「図星かよ」
嘲笑うように笑う藤間。
なんだろう。なんか、嫌な予感がする。
ゾワゾワと背筋が凍るようだった。
「言っとくけど、お前バレバレだからな」
「え、」
「早坂を見る時のお前の目。例えるなら、”恋する乙女”?」
「は・・・・・・?」
「他の3人にはバレてないみたいだけどな」
・・・・・・・・・嘘だ。
藤間に、バレてる。
気を付けてたはずなのに、俺、そんな・・・・・・。
「安心しろよ」
俯いていると、上から声が降って来た。
顔を上げて藤間を見る。寒気がした。口角がつり上がって、すごく楽しそうな笑顔。
「あいつらには言わない。もちろん他の奴等にもだ。―ただ、」
「っん!」
また唇が重なる。さっき殴った時切れたんだろうか。少し、鉄の味がした。
今度は触れるだけで、すぐに離れた。目の前にニヤリとした笑顔が広がる。
「お前が俺の玩具になってくれんならな」
嫌な予感、的中した。
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