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episode7 始まり
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``今だ´´
掴んだ手が緩んだ時を見計らって、
振りほどき生徒寮の方向へと一直線に走った。
冷たい夜風にあたったお陰で、
頭が冴えて さっきよりも薬が抜けてきた。
助けて、と
叫びたいが 叫んだところで袋の鼠だ。
思う様に動かない体を前へと前へと進めた。
「馬鹿だなぁ。逃げても無駄なのに、
佐久間先生呼んじゃうおっと。」
「ひゅっ。っは。は。」
上手く息が吸えない。
あの佐久間に捕まったら、次こそ本当に
終わりそうな気がする。
犯されるどころか、殺られる。
「あぁ。もしもし?佐久間先生ですか。
はい、はい、 そうなんです、
寮から逃げ出した生徒見つかりましたよ。
いつものお願いします~。」
不思議と中沢は追いかけてこない。
それでも悠真は走り続けた。
教官寮と生徒寮はそう離れていない。
おぼつかない足で転けそうになりながら、
生徒寮へと駆け込んだ。
遠くに逃げても、付近には
啓くんがいるかもしれない。
ましてや中沢と繋がっている。
だとすると生徒寮に逃げて隠れ場所を確保し、
朝まで待って自部屋に帰った方がいいだろう。
(まだ見つかってない。間に合う。
隠れる場所は、表からは入れないが
倉庫のハシゴを屋根裏にかければ。)
まず倉庫へ行くはいいものの、
ハシゴを架けて屋根裏に登るのは
後ろに束ねられている手を解くことからだ。
「は、っ。こ、れ。取れな、、」
壁に擦り合わせたり、紐から抜こうとしたが
全く取れる余地はなかった。
手首だけではなく、腕には平たい紐を
張ってある。
排水管の窪みに引っ掛け思い切り引っ張ったが
あまりの強さで、悠真の手首に数本の蚯蚓脹れを起こした。
「あとっ、すこしで、っ、は。」
手首の紐は千切れ、流血しているが
佐久間が来るまで逃げられそうだ。
あと腕の紐を同じく引っ掛けて、
「思ったより、早く見つかった。
こうやって会うのは2回目か?真田。」
気配に気づかなかった。
背後からの圧が凄く伝わってくる。
綺麗な顔から出てくる低い声は、
身震いするほどの恐怖を与えた。
蛍光灯の光で影になった佐久間が
間接的に見える。
「なぁ。」
頭と体力の限界が来たのだろう。
(あれ、目の前が渦巻いて。)
糸が切れたように
佐久間の話を聞かず、
悠真は倒れるように眠った。
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