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『式と俺』
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結局半日つぶれたうえに
制服が汚れた。
最悪だ。
「………怒ってる?」
「……………………………………シネ」
しょぼんとしたその姿は
本当に犬のようだ。
…てかほんとこれどうしよう。
制服が……
「今日は帰ろう?」
そんな俺の心の声が聞こえてか
俺の返事もきかずに
鞄取ってくると言って教室を出ていった。
式が学校で吸血するのは珍しいことではない。
我が家で一番俺を食すのは
式だ。
ほんのちょっとの差で白葉が次に来る。
まぁ俺だって人の血を吸いたくなるときはあるが、かといって
人間の血を吸うことは赦されない。
それは追々説明することにする。
でもひとつだけいえるのは
俺たちは人間には決して害を加えたりはしないのだ。
けど世の中には上等組(人間を餌としか扱わない一等吸血鬼)の吸血族もいたりするようだ。
まだ俺たち以外の吸血鬼に会ったことはないけど。
緋色はその組から抜け出した一人なのだと白葉が言ってた。
白葉も緋色も
自分のことは滅多に話さないから
俺は二人の過去をあまり知らない。
「雨?」
「…んあ?……ごめんボーッとしてた。」
いつの間にやら鞄を持った式が
帰ってきていたようだ。
「何か真面目に考えてたね。」
「ううん?なんも。」
式と俺は
似たような環境で生きてきたようだ。
だから式の隣はとても
居心地が良い。
セクハラ多いところは目をつぶっかな。
「……んっ」
不意に顔に影かかかったかと
思うと
唇を式のそれで覆われていた。
「……まだたんねぇの?」
「……常に雨不足。」
未だ降りやまぬ雨が
二人しかいない教室の中に
音を響かせた。
やっぱり雨の日は出てくるんじゃなかった。
そう思った途端に雨は
突然強さを増した。
「…
… 。」
式が何か呟いたが
俺の耳には届かなかった。
『…ずっと
この時が続けば……』
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