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『小さな嫉妬』
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「で、どっちがいいと思う?」
すっ飛ばしてモールに到着しまして。
現在帽子を選んでるところです。
狙ってきたのはハットだが
中々にいいもの揃いだ。
「……………」
「え、ダメ?えー
いいと思ったんだけどなあ」
刹が無言ということは
あまり勧めない場合だ。
「じゃぁこ「却下。」ういっす。」
「たまにはシックにまとめてみたら?
あの服には黒系がいいと思うよ。
これとか。」
刹が手に取ったのは
シンプルなグレーベースのハットだった。
わ、いいかも。
「買う」
「早いね」
刹が言うなら間違いないわ。はい、即買い!
「あれ?篠目?」
「あ?雨じゃん。」
篠目は俺が毎日学校でつるんでる
同じクラの奴だ。
刹と目があうと
篠目はペコッと軽く頭を下げた。
「同じクラスの篠目。
こっちは一緒に住んでるルームメイトの刹。」
一応家はシェアハウスだと
説明してあるのだ。
「あぁ、よく式が言う絆創膏くん、ね。」
「絆創膏じゃねぇよアイパッチだ。」
篠目は見た目こそガラは悪いが他人思いのいいやつだ。
刹とはまるっきり反対タイプなので
わかりあえない二人だろうな、と思ったり。
「買いモン?」
「兄貴の付き添い。お前も?」
「いや刹のが年下なんだけど。」
「まじか。お前童顔すぎっし
こいつ大人っぽいから逆転してんぜ。」
「うっせ。」
「お、それ似合うんじゃね?」
ワックスで固めてるつんつんな
金髪をがしがし掻きながら
俺の手にあるハットに目をやる。
「刹のチョイスだからな。間違いないだろ。」
「へぇ。」
いつもの感じで篠目が俺の肩をくんだ瞬間とてつもない
鋭い視線を感じた。
「そろそろ帰るよ、雨。」
「え?お?」
手を引っ張られ半ば強引にその場を離される。
ポカンとしてる篠目に手を振って
とりあえず刹のペースに合わせる。
手を握るような形になりながらも
向かった先はレジだった。
「自分で買うって」
「いい。これは本当に似合ってたから買ってあげる。」
「や、でも中学生に買ってもらう俺って……」
いや、回りからみれば
逆に見えるかもしれないけどさ。
そんなことを考えてると
いつのまにやら
会計をすませ、値札を切って貰った
それを頭に乗せられた。
「やっぱでも俺が買うって」
「とりあえず黙って」
帽子の角度を変え少し屈んで
回りに見えないように
互いの唇が触れた。
「おまっ!!」
「……」
あれ?なんか
「怒ってる?」
「別に」
………なんで?
なんだか不機嫌になってしまった刹に
首を傾げるしかなかったのである。
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