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『求め、戸惑い』
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気づいたら雪都さんがかなしげな顔でオレをみてた。
気づいたら彼らは俺に気を使ってた。
恐らくここは俺の育った家だ。
でも なにも覚えてない。なにも。
思い出も、二人とどんなことを過ごしてきたかも。
だからたぶん、居心地が良くなかった。
俺の記憶がない理由は
聞いちゃいけない気がしたんだ。
そんな曖昧な気持ちのまんま
俺は
式と出会った。
いや正式にはどうやって出会ったかは分からない。
でも緋色がいった。
『オレと共に生きよう。どんなことからもオレがキミを守ろう。』
と。
その言葉に何故かひどく安堵したのを覚えてる。
緋色と出会ったのは、いつだったけ・・・・・。
知ってた。緋色が雪都さんを
嫌ってること。
なにか隠してることも。
俺はずっとここにいたい。
だから知るべきだと思う。
「教えて式。緋色は教えてくれないと思うからさ。」
式はまっすぐ俺を見た。
「それはオレからは、言えない」
「式」
「ごめん。雨。それは 緋色から聞いた方が良い。……俺は言えない……」
「両親がいなくて記憶もない。」
「………」
· ·
「俺たちの共通点。
でも俺が知らなくて
お前が知ってること。
俺とおまえと緋色がであった日のこと…」
「………」
「俺はお前に狩られる寸前だった。」
「!!なんで……」
あぁ、こいつはほんとわかりやすい。
あの時雪都さんの家に行ったことも
今回の夢のことも
きっと俺は思い出さなきゃいけないことがあるんだと思ったんだ。
少しずつ
頭の記憶のピースが自らはまり込もうと動き出してる気がした。
「なんや重苦しい雰囲気やなあ」
突如背後から舞い降りた声に
心臓がとまりかけた。
「しら、は……」
「あぁ、レイ。そろそろ白葉さまのお食事の時間や。俺ん部屋おいで。」
有無を言わさず俺の腕を引っ張り
廊下へ連れ出されるのに
俺はなにも抵抗できず従うしかなかった。
「………ごめん」
小さな声だが
通り過ぎる際確かにそう式が呟いた気がした。
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