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『まもるため』
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『緋色。あの子は。』
不安げに問いかけるまだ幼さが残る少年、基式に
緋色は頷いた。
『大丈夫だよ。昨日のことは全て記憶から消した。‥‥両親のこともね。』
ほっと息を吐く式に緋色も少し安堵した。
敵といえど式も父親を雨に殺されたのだ。
心中穏やかではないだろう。
『‥‥式。あの子が憎いかい?』
式はすぐに、首を横に振った。
『俺があの惨劇を作った本人だ。
俺があの子の両親を殺さなければ、あの子はこんなことせずに済んだ‥‥』
『‥‥気づいたんだね。共鳴だけではそこまで気づけないはずだったけど。』
式の能力。式の性格からして
また一つのストーリーとして
今回のことを収めてしまうようであれば
間違いなく雨は殺されていたと緋色は思った。
『すぐわかったよ。・・・・・すぐに。』
共鳴した時のことを思い出してるのか瞳が揺らぐのがわかった。
『あの子の前では何も知らない振りをして欲しい。次会うのが式とあの子のはじめまして、だ。いいね?』
真面目な式はすぐには頷かなかったが
あの子の精神を考えるとそれが一番だからと
諭した。
『俺はあの子を引き取るつもりだ。
式、お前も来るかい?』
父親という目標が消え式はまだ跡を継げる歳ではないし、組織を従える父がいない組織にいる意味はないと式は言った。
だからこその2度目にして最後の誘いだった。
『‥‥俺が一緒に‥‥』
『俺はあの子を守りたい。お前には酷かもしれないから無理にとは言わない。だけどもし来てくれるのであれば、罪の意識無しにしてあの子を幸せにすることを誓って欲しい。』
真剣な緋色の言葉に
式は頷いた。
『俺に出来るのであれば。』
その言葉と共に。
緋色は微笑んだ。雨を傷つけない環境。
きっとこれが正しい答えだと確信した。
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