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F-0823 シュウ (14)
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ベッドの中で抱きしめているとシュウは静かに眠りについた。パソコンと携帯を持ってリビングに出ると電話帳を開いてユイに電話をかけた。
「シツケの、ハルヤです。今大丈夫ですか?」
『眠いけどいいよー。』
「・・・すみません。あの、シュウのことなんですけど。」
『あー、シゲユキから聞いてるよ。シュウくん、話した?』
伝わっていた情報に加え、シュウが話したことを伝えると、パソコンのタイピング音が聞こえてきた。
『ヨウヘイくんには、もう伝えてあるんだっけ?』
「はい、リクマさんの許可が取れれば実行してくれるそうです。」
『大丈夫でしょ。俺言っとくし。』
「ありがとうございます。ヨウヘイくんへの報酬は俺から出します。」
『はいよー。じゃあ、またね。』
ヨウヘイはこの施設の従業員ではなく、リクマのもとで働いているだけなため、リクマの許可を取らなくてはいけなかった。ヨウヘイは保育士資格と児童指導員として働くことができる資格を持っているらしい。そこで今回ヨウヘイに頼んだのは、ひまわり園への潜入だった。児童虐待の証拠を掴んで監査を入れさせる。それが目的であわよくば子供たち全員が安全な場所へ移れるようにできたらよかった。電話帳を開き、ヨウヘイへ電話をかけるとワンコール待たずにすぐに出た。
『もっ、もしもしっ』
「・・・シツケのハルヤです。今大丈夫?」
『ハルヤさん、でしたか・・・。』
電話の相手を確認できないほどの速さで応答し、俺だとわかると安心したかのように息を吐いた。電話に出るのが遅いだけでリクマは怒るのかと尋ねると、苦笑いした。
『まあ・・・少し罵倒されたり、仕事が増えちゃうだけですから。』
パワハラだ。リクマとヨウヘイの関係性に口を出せない俺は、同情することだけに留めておいた。シュウのこと、そして施設のことを話すと快く承諾してくれた。観察データや盗聴、盗撮の映像を撮るように頼むと気味が悪くなるほどいい返事をされた。
「そんなに怯えなくても・・・俺は何もしないよ。」
『す、すみません・・・癖で・・・。』
「それより、報酬どんくらいがいい?リクマさんにいつももらってるくらいでいい?」
『いえっ、お金なんてもらえませんっ』
「じゃあ、何がいい?何でもいいよ。」
『じゃ、じゃあ・・・リクマさんに、お休みを頂けるよう、頼んでもらえませんか・・・。』
罵詈雑言に加え、休みを与えていないとは。その中でリクマのもとで働いている事実に頭を抱えた。遠出ができないと嘆いていた。報酬はきちんともらえているが、使うところがないため、溜まっていく一方だと笑う。
「そんなこと、ユイさんから言ってもらうから・・・。」
『すみません、自分じゃ言えなくて・・・。』
「いいよ。言ったら言ったで碌なことないし。」
ありがとうございますと言うヨウヘイに挨拶をして、電話を切った。その後すぐにユイにヨウヘイのことを伝えると、呆れたようにため息をついてリクマに伝えると言ってくれた。
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