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F-1009 カエデ・F-1010 モミジ(1)
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シゲユキがコドモを抱えて家に入ってきたときから俺たちは頭を抱えていた。数分前にミヤコが全く同じ顔をしたコドモを連れてきたばかりだ。
「ど、どうしよう・・・どういうこと・・・。」
「・・・・・・。」
「何か言ってよっ」
「・・・ユイさんに電話する。」
ベッドの上には同じ顔のコドモが二人。その横で真っ青になって頭を抱えている大人が二人。電話帳を開いてユイを探した。
『はーい。もしもーし。』
「・・・シツケの、ハルヤですが、今回はどういうことですか。」
『え・・・何が?・・・心当たりが全くなくて・・・。』
「二人来ました。同じ顔が、二人。」
『え・・・あ、あー・・・双子、なんだけど・・・モミジくんのほうがリクマのところに運ぶように言ったんだけど・・・。』
それをシゲユキに伝えると、自分はカエデと言われた子を連れてきたのだと主張する。ミヤコに連絡をしたユイから伝えられたことに絶句した。ミヤコは施設から連絡があり、ユイから言われていたモミジを預かろうとしたが、施設の手違いでカエデという少年を渡されたため、こっちに連れてきたのだそうだ。つまり、施設の人間が二人のことを区別できずに、二人ともカエデだと言って引き渡したため、このようなことが起こったのだという。
「どうしたらいいですか。」
『・・・どっちがカエデくんかわかったりする?』
「わかるわけないでしょう。」
『ちょっと、リクマに電話してみる。また、あとで。』
よく聞くと、モミジは一週遅れて運ばれる予定だったらしい。なぜなら長期休暇を取って海外へ行っていたリクマが、帰ってきたばかりだからだ。時差で体が慣れてないときにコドモを引き取りたくないと言っていたリクマに、仕事を無理矢理押し付けるのは恐ろしいとユイは言った。ため息をついて再びユイに電話をした。
『いいの?僕から言っとくよ?』
「大丈夫です。なんとかするので。」
リクマをここに連れてきてほしいと頼むと、二つ返事で大丈夫だという。状況の説明もすると言ってくれたが、ユイから言われても素直に納得しないだろう。俺から言ってもそれは変わらないが、ただユイの手を煩わせるのだけは嫌だった。もう一度深くため息をついたとき、心配そうに見ていたシゲユキに声を掛けられた。大丈夫だと片手をあげることで返事をして、不機嫌ではないリクマが出てくれることを願って電話を掛けた。
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