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F-1009 カエデ・F-1010 モミジ(7)
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目を覚ましたカエデは俺のことを睨んでいる。困ったなあと腕を組んだ。ベッドから降りてゆっくりと近づいてくるカエデを見下ろすと、強い力で腕を掴まれた。
「・・・痛いよ。」
「モミジは、どこにいる。」
「リクマさんと一緒のところにいるよ。」
苦い顔をして口を開く前に、会わせないよ、と付け足すと悔しそうに顔を歪めて手を離した。
「わかってる・・・いつまで・・・っ」
「さあ・・・。もう、会えないかもしれないね。」
驚いたのか悲しそうな顔で見上げる。小さな声で、なんで、と呟いたのを聞こえないふりをした。昨日から何度も聞いた、なんで。離れなければいけない理由を考えても答えなんて出なかった。ただ大人の都合で不自由に、不幸になるコドモがいる。でも保護してもらって幸せな暮らしを保証されたコドモだっている。俺がどうこうできる問題でもないことはわかっているからこそ、こんなことを考えている時間も無駄だろう。かわいそうだ、と人ごとのように呟いた。
「あわせて・・・おねがい・・・。」
頭を下げて、震える手で俺の服を掴む。泣きそうな声で懇願する様子はなんとも健気なことだろう。ベッドに座らせ、視線が合うように片膝をカエデの横に乗せ、顎を掴む。
「カエデがきちんと俺の言うことを聞けるなら、お前の願いを三つだけ叶えてやる。」
「・・・・・・。」
「なんでも、三つ。俺にできることなら、絶対に叶えてやる。」
「・・・言うこと聞いたら、モミジに会えるの・・・?」
黙って首肯すると、聞こえるか聞こえないかギリギリの声量で、わかった、と言った。
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次の日の朝、ヨウヘイを呼び出したリクマは、嫌だと泣き叫ぶモミジを抱えて自分のところへ帰って行った。リクマが怒っているのがわかる。帰ったら酷い仕打ちをされるだろう。面倒くさそうに舌打ちをするリクマに、モミジよりヨウヘイのほうが怯えていた。
泣きながら、カエデと叫ぶモミジの声が寝室まで聞こえていたのに、頑なに無視をした。言うことを聞いたらモミジに会える、そう信じてモミジの声を無視した。感情を押し殺すようにじっと布団の中に身を潜めた。
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