アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
出会った日(前編)
-
僕はその日浮かれていた。
初めての女装しての外出。Twitterで知り合った女装友達と会いプリクラを撮ったり服の話をしたり等今まで他人に言えなかった話を思う存分しととても満足していた。
だが帰ろうとしたとき事件は起こった。
「財布が無い」
女の格好をした僕は小さく呟いた。
定期も家の鍵もすべてそこに入っている。家に帰れないどころか家に入れない。お金が無いからお店にも入れない。
完全につんでいた。
誰かに泊めてくれとお願いするにしても上京して4ヶ月ろくな知り合いもいない。いたとしてもこの格好で会うのは無理だ。
いや一人いる。さっき遊んでいた女装友達なら女装のことも知っている完璧だ。
さっき初対面だったが頼れるのはこの人しかいないと思い恥をしのんで頼むことにした。
「あの...すいません。財布落としてしまったので今日とめてもらえないですか?」
「ごめん。実家だしもう電車無いから助けに行けない。ほんとごめんね」
「あっそうなんだ...いやいや大丈夫です。父親東京にいるのでお願いしてみます。ホントに今日はありがとうございました」
終わった。最後の希望が絶たれた気分だった。
父親は確かに東京にいるが母親と離婚して3年連絡もとっていない。まあとっていたとしてもこの格好で父親と会えば殺されるだろうが。
こうなったら財布を探すしかない。そう決心して池袋の街に戻った。
当然ながら見つからない。当たり前だ。こんな広い街からあんな小さなものを見つけるのは不可能だ。そして夜の池袋の街がとても危ない場所だと知ったのだった。
「イチゴでどう?」
「今から遊ばない」
「一時間だけ口だけでいいから」
女の格好をして一人で歩いていると絡まれるのだ。だが大抵こう言えば微妙な顔をして消えていくのだ。
「僕男です」(追い払らうつもりではなくこう言うしかなかった)
中にはそれでもいいという人もいたが必死で断った。後々知るのだが断っても絡んでくるので無視するのが一番いいみたい。
知らない男に性的な目的で絡まれるというのは不快だし怖かった。
人が少ない方に僕は逃げていった。たどり着いた所は南池袋公園。
中に入るのも怖いので外周をトボトボと歩き疲れ、うずくまった。時間は12時をとっくに回っている。眠気も押し寄せてくる。そんなとき声が聞こえた。
「君どうしたの?」
上を向くと1人の男性が僕にはなしかけていた
「家出でもしたの?」
いや1人暮らしだと言いたかったがそんな気力はなかったので頷いた。
「そっか...うちくる?」
どうせこいつもヤリ目だ。男だと言っておけば去っていくだろうと思っていた。
「男ですよ」
「えっうん...あーそうなんだ まあでもいいよ行くとこ無いんでしょ?」
こいつ男でもいけるタイプだったか。ここで寝るよりはマシか。暗くて顔はよく見えなかったがまあ普通そうだしもう仕方ない自業自得だと割り切り泊めてもらうことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 8