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好きより重い1
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「好きだよ、誰より君が好き」
こんなことを誰が想像していただろうか。まさか親友に告白される日がくるなんて。海が俺に恋愛感情を持っているなんて思ってもみなかった。俺なんかのどこがいんだよ。海にはきっともっと良い相手がいるだろうに。海は優しいし、顔も良いし、聞き上手だし。それに海には普通に結婚して幸せになってほしい。俺は海のことが好きだけど、それは恋愛感情ではない。
「いきなりごめんね、嫌だったら俺はすぐに消えるからさ」
消えるってどういうことだよ。この場から消えるってことか?それとも、、
「直樹が嫌なら、僕は君と親友をやめる。」
親友をやめる‥?なんだよそれ。それってもう海と話せないってことか?辛い時も一緒にいてくれた海と、もう一緒にいられないってことか?一緒に笑えないってことか?
「直樹だって俺が側にいたら困るだろうし」
海は作り笑いをした。お願いだからそんなに苦しそうな笑顔をしないでくれ。
「困らねえよ」
考えるより先に口が動いていた。だって困るんだ。海は誰より大切だから。
「直樹が困らなくても、僕が辛いんだ。好きな人と親友だなんて。わがままでごめんね。」
嫌だ、嫌だ、嫌だ。海を失う?そんなのはありえない、家族を失ったって海だけは失えない。それに海は弱い。弱いくせに何にでも立ち向かう馬鹿なやつだから、俺が守ってあげないと。今の俺は海がいたからこそあるんだ。海を失うくらいなら俺は。
「俺も好きだ、付き合おう」
「え‥?」
海を失うくらいなら海と付き合う、そんな発想から出た言葉は海にとっては予想外で、海の目を瞬かせていた。
「直樹、それは嘘だ。駄目だよそれは、そんな嘘、僕はいらない。」
焦りながらも冷静に海は俺に言った。
「嘘じゃない、本心だ。」
すぐにそれに答える。
「誰より好きだ」
これは嘘じゃない。
「違う、君のそれは‥」
海が言いかけてやめる。海が泣きそうになっている。どうして海が泣きそうになるんだ。俺は海を傷つけたくないのに。海には笑っていてほしい。
「じゃあキスしてよ、僕のこと好きならキスしてみてよ」
海が震える声で言う。男とキス、そんなの俺は嫌だけど、海とは違う。海とキスする、海が望むならそれくらい、いくらでもできる。
「海‥」
俺は海の名前を呼びながら、海と唇をかさねた。
「んっ‥」
唇を重ねながら、海を抱きよせた。海がビクッと肩を震わせたがお構いなしに強く抱きしめる。
キスが終わると、海の顔は真っ赤で目はトロンとしていた。
「直樹、好き」
「俺も好きだよ」
海を失うくらいなら、俺はなんだってする。この想いは、恋愛的な好きではない。好きより重い何かだ。
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