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2話
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「いや、ゲイっちゅうか、よく分からんけど、なんかな、男も好き、みたいな感じでな、」
顔を真っ赤にしながらしどろもどろに話す彼に、俺は完全に帰ろうとしていた準備の手が止まってしまった。
「でもな、俺彼女おるやんか。やっぱ女も好きやねん、多分」
「それで俺のソッチ系の友達に話したら、あんたバイなんやないのて言われてもうてなぁ」
「で、俺きっかけを探してたんよ、なんで俺は男が好きかも、てなったんかを。誰のせいで俺は男が好きになったんやろ、てことをな」
それで俺分かったねん、と話そうとする彼の口を慌てて塞ぐ。
どうしてそんなことしたのか分からないけど、でも何となくこれは彼がシラフのとき以外で話しちゃいけないんじゃないかと思った。
もしかしたら彼、ひいては俺の身近な人だったら俺はちょっと困るかなと思ったのだ。
「浩輔くん、俺帰るよ。ちゃんと布団で寝てね」
止まっていた手を動かし、玄関に向かう。
このまま放置してたら絶対ソファで寝るんだろうなと思いながら、でも彼を気遣う余裕がないくらい彼の発言は俺をかなり動揺させていた。
同じ職場の先輩がゲイかもしれないってだけの事なのに、浩輔くんとは結構仲良くしてたからか心がざわざわしてる。
「まだ話は終わってないやん、もう、圭ちゃんはほんまマイペースやなぁ」
ぶつぶつ言いながらも気をつけて帰りや、とだるそうな声で見送る彼を振り返りもせずにドアを閉めた。外はもうすっかり夏も終わって少し高ぶっている頭を冷やしてくれた。
幸いにも明日は仕事は休み。彼と会うことは無い。
でも、と彼の言ったことが頭から全然離れないまま俺は家に帰るために駅に向かった。
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