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「じゃあ、父さんは要と一緒に行ってくるから。悠こと、頼んだぞ翼」
「りょーかい。気を付けてね」
翼はヒラヒラと手を振ってみせる。
要は酸素マスクをつけたまま、疲れきってウトウトとしている悠に近付くとそっと屈んで顔を寄せた。
「悠、本当にごめんね。嫌な思いも苦しい思いも沢山させちゃって…僕のこと、恨んでるよね」
俯いた要に悠は小さく首を振った。
そして要の手に自分の手を重ねると、反対の手で酸素マスクを取って力無く笑う。
「恨んで、ないよ。大丈夫」
悠の優しさに要はまた泣きそうになりながらその手を両手でギュッと包み込んだ。
「…悠、ちゃんと罪を償って、また家に帰ってこれたら…その時は、僕と家族になってくれる?」
「…うん、待ってる。約束、ね…”要さん”」
悠がそっとその手を握り返すと要はその手を額に当ててありがとう、と笑った。
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