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ーーあの後、蘇生後脳症によって以前にも増して身体が不自由になってしまった悠は結局病院から出る事が出来ず高校を中退してしまった。
然し幸いにも日常生活に異常をきたすまでには至らず、薬の服用は強いられたものの無事退院することも出来た。
その間に悠は高卒認定試験を受け、そのまま大学へ進学。
その時、苦悩する悠に勉強を教えていた翼は教師という仕事の楽しさを見い出し、最終的には一番自分が得意だった理科の教員免許を取得したのだ。
そんな翼を近くで見ていた悠は将来医療関係の仕事に就きたいと考えていたのだが、少しばかり進路の方向を変え養護教諭を目指すことになった。
そして配属されたのが偶然にも翼と同じ学校だったのだ。
最初こそ戸惑ったものの学校のことに関しては先輩である翼の身内贔屓、というより悠贔屓のお陰で特別困ることはなかった。
今では職員室でも千歳兄弟、と一纏めにされるほどその仲の良さは浸透し、なんだかんだで楽しくやっている。
「でも悠は随分翼に似てきたね」
「えっ」
悠は聞き捨てならないその言葉にギョッとして再び運転席側に身を乗り出すと、助手席の翼が目を輝かせた。
「えっ、父さんもやっぱりそう思う??ふふーん、漸くハーくんが俺色に染まってきたってことかぁ〜」
「兄さんの色とかやだよ…何かギラギラしてて目痛くなりそう。…もう四捨五入したら三十路のくせに…」
「…ハーくん、誰が三十路だって?俺はまだまだピッチピチの二十代ですー」
「ピッチピチ…?」
態とらしく口を尖らせる翼だったが、確かにもうすぐ三十路の男とは思えない程の容姿だった。
七年前の翼の姿と比べてみても、肌のツヤやハリは十代と言っても納得出来そうである。
更に最近は、その完璧な容姿に大人の色気が増してきて、並んで外を歩くと前以上に人目を引いてしまい困ったものだ。
そして想像はつくだろうが、学校でもこのくっつき様である。
お陰で学校内で翼と悠が一緒にいると主に女子生徒からの熱視線が向けられるようになってしまった。
眉間の皺を濃くしつつ、自分が老けてしまいそうだと思いながら悠は可笑しそうに小さな笑みを零した。
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