アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10.
-
暫くして、泣き止んだ一千花は自分の身体のことを包み隠さず全てを話した。
千尋はそれを終始黙って聴き、一千花の小さな声に耳を傾け続けた。
お互いのことを知った二人は漸く友達と呼べる関係に進展し、この日から千尋は一千花の元に通い始めた。
「あら千尋、どこか行くの?」
「ん、一千花んとこ行ってくるわ。アイツ昨日少し熱っぽかったから、親父に貰っといた解熱薬飲ませてくる」
「分かったわ、気をつけて行ってらっしゃいね。一千花君によろしくね」
あぁ、と返事をして早々に家を出て行った千尋の背中を見送りながら母はふふ、と笑を零した。
以前の千尋と比べ物にならない程近頃の千尋はやる気に満ち溢れている。
それは剣の稽古だけでなく、今まで全く興味を示さなかった薬学にも徐々に触れるようになり父も喜んでいた。
きっと千尋の中で何か心境の変化でもあったのだろう。
「これも、一千花君のおかげかしらねぇ」
母は息子の成長を喜びながら洗濯物を物干しに干していった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
94 / 257