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「なー、マク。ここで寝んの?」
髪に指を通して、頭を撫でる。
まるで無反応。生きてんのか? って、顔を寄せて眺めると、時々まぶたと、まつげが震えるのが分かった。
たまに、眉間にしわも寄せてる。
なんか、悪い夢でも見てんのかな。
そう思って、頬に手を当てる。親指で頬をなぞる。
なんだか分からないけど。
突然、心の奥底からなにかが湧き上がってきて。
愛しいような、大切なような、そんな、なにか。
俺たちはずっと付かず離れずの距離でいるから。他のメンバー。例えばマクがジニョンやジェクスンといる時みたいに、ぴったり距離を詰めてそばにいたり、抱き合ったり。
そんなことしないし、同級生の感じで、対等にやってきた。
だから、ふいに湧き上がったそれがなんなのか理解できなくて。だけど知りたい気がして……。
ただ、髪や頬に触れてた。
どのくらいそうしていたのか。
突然、ハッと勢いよく息を吸って、マクがバチっと目を開いた。
「うわっ」
その瞬間目が合って。
びっくりして思わず声が出たし、のけぞった。
マクも驚いた顔してる。
「ジェボミ……起こしてくれた?」
かすれた声でそう言う。
「あ、うん」
「ありがと……なんかすごい怖い夢見てた」
「そうなの?」
「ん」
はあーっと、ため息を吐く。
「ちゃんと部屋行けよ」
「ん、そうする」
俺は立ち上がって、自分の部屋に向かう。
「ジェボマ」
「ん?」
呼ばれて振り返ったら、マクが目を擦りながら、体を起こしてた。
「これ、掛けてくれた?」
「ああ。起こしても起きねーから」
「そか。ありがとね」
「んー、おやすみ」
「おやすみ」
廊下を歩きながら、考える。
今の、何だったんだ。
髪を撫でていた手の感触。
俺、なにしてたんだ。
意味わかんねー。
前の宿舎より広くて綺麗なここに移ってきて、しばらく経つ。
その時に、一人暮らしを始めたメンバーもいる。今残っているのは、マク、ジニョン、ユギョム 、俺の4人だ。
今まで窮屈な宿舎に7人で住んでたのに、急に人数も減った上に広くなって、それぞれの個室もあるし。宿舎も前よりずいぶん落ち着いた雰囲気になった。
各自が部屋に篭っていると、いるのかいないのか、分からない時さえある。
俺も、一人暮らししてみてもいいかなって気持ちもあったけど。宿舎にいることに不便も感じないし、作業スタジオは別に借りてるし、特別に出たい気持ちもなかったから、残ることにした。
この宿舎の契約が終われば、いずれ出て行く事になるかもしれないし。
それまでは、まだこのままでいいって思う。
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