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「わっ、え、ヤバっ」
王道のアクションものだし、面白いってことはいろんな人から散々聞いてたけど。実際に見てみたら、ほんとにその通りで。
あっという間に引き込まれて、ただ面白くって。
「あー、面白かった、マジでおもしろいなっ?」
スピーディーにあっという間に話は進んで、エンドロール。
相変わらず俺の膝の上にはマクの頭。
途中で寝心地が悪かったのか、俺の膝の上にクッション敷いて。おかげで太ももは痺れたりしてないけど。
俺の脚を何だと思ってやがる。
「なあ、マク?」
俺が面白さを伝えてんのに、ぜんぜん反応ないし。
画面の方を見てる頭を触っても反応なし。
「え、寝てんの? マク」
背中を丸めて顔を覗き込んだら、すやすや寝てるし。
え、お前が見たいって言うから見たのに、寝んのかよ。って思ったけど。
結果的に楽しんだし、面白いの見せてくれてありがたいし。まあ、いいか。
「マク、終わったぞ」
肩を揺すっても、起きないし。
どうしたもんかな。
そう思いながら、髪をそっと掻き回す。
まあ、いざとなればクッションごと下ろしてしまえばいいんだけどさ。
ブリーチで柔らかくなった髪。
エンドロールを見ながら、ふわふわ、ほとんど無意識で掻き回してた。
「それ……」
「んっ?」
眠っていると思っていたマクから、突然声が聞こえて来た。
「起きた?」
「ん……それ、好き」
小さな声でボソボソと呟く。
「……どれ?」
「その手」
「えっ、あ、ん、そう」
ただ頭を触ってただけなのに、そう言われるとなぜか、急に気まずい感じがして、手を引っ込めた。
寝返りをうって仰向けになると、眠そうな目で俺を見上げる。
「そか……ジェボミか」
「え? なにが」
マクがなにを言いたいのか分からない。
「昨日も、してくれたよね」
「えっ」
とろんとした目と口調でそう問われて。
思わず口ごもった。
今頭に触っていたのはほとんど無意識で、深く考えてそうした訳じゃない。だけど、急に昨日のことを思い出して。あの時の感覚がぶわっと広がる。
「え、や……」
じっと見つめてくる視線に耐えかねて、視線を逸らした。
「え、ジェボミだよね? あれ……俺怖い夢見てて、え、幽霊?」
「や、ちがう」
急に慌てたように幽霊とか言い出すから。白状するしかなくなる。
「なんか……うなされてたから」
「そっか、助けてくれてよかった」
そう言って微笑む。助けたとか、大袈裟。
「もっとやって」
そう言って俺の右手を軽く叩く。
「なんだよ、眠いなら部屋行けよ。重いし」
「んー、行くから、もうちょっとだけ」
「なんでだよ」
「いいから」
なんでだよって思うのに、その頭に手を伸ばしてた。やって欲しいって、言われたからってわけじゃないけど。手持ち無沙汰で。
色の抜けた毛先をいじる。根元は真っ黒だし、もうすぐ活動準備だから、美容院に行く頃だな。
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