アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
21
-
その時、玄関のドアがバタンと鳴った。洗面所で水が流れる音。
俺はビックリして飛び起きた。
寝そべったままのマクの足元に、座り直す。
「ただいま」
「あ、おかえりジニョンイ」
リビングに顔を出したのは、ジニョンだった。
「おかえりー」
「え、呑んでるの? ジェボミヒョン、ダイエットはどうしたの?」
空き缶に目を丸くしてる。そりゃ、そうだ。
「んー、今日だけ」
「ふうん、まあ、息抜きもいるよね」
「あ、うん」
「マクヒョン、そこで寝ちゃだめだよ」
「うん、大丈夫」
こっそり、マクを見ると、さっきの体勢のまま、ソファに寝転がってた。
俺の心臓は、まだ早鐘のように鳴っていて。
ちらっとマクを見るだけで、胸が苦しくなる。
ジニョンが部屋に行ったら、またふたりきりになった。
突然ハッとして。押し寄せる現実。
俺、とんでもないことした。
「マク、」
目が合う。
ただそれだけで。どこも触れていないのに、苦しくて。
俺を見つめ返すマクが、なにを考えてるのか分からなくて。
怖い。
今さら。
謝って、すむことじゃない。酔ってただけだって、ごまかす? 冗談になんて、なるわけない。
「ジェボミ」
「ん」
下を向いていたけど、名前を呼ばれて、弾かれたようにマクを見る。
「今の……」
「ん、」
「もし謝ったら。許さない。一生口きかない」
「えっ?」
俺の目を真っ直ぐに見つめて、ハッキリとそう言った。
「あー、飲み過ぎた。ねむ。俺寝る」
「あ、うん」
マクはグラスとボトルを持って、立ち上がる。
「おやすみ」
「……おやすみ」
今言われたことを、反芻する。
謝ったら許さないって言った。
謝るなって、ことだ。
わかんねえ。
胸が苦しくてたまらなくて。
バタンとソファに倒れた。
リビングから出て行く後ろ姿が見えた。
この状況にはまだ混乱したままだけど。
でも、自分の心は嫌というほど理解した。
あいつのことが、愛しい。
これは友情なんかじゃない。
背中を見るだけで、胸がぎゅっとする。
俺、マクのことが好きだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 52