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「あのさ」
怒ってる? そう思った時、マクが口を開いた。
「ん」
「さっきの話って、ほんとにあれで終わりなの?」
「え?」
怒ってるみたいにジッと見据えられて、何て返せばいいのか分からなくて。とりあえずうがいをして、向き直る。
鏡越しじゃなくて面と向かっても、やっぱり怖い顔してた。タイムラグありすぎだろ。
今になって、言われたことが嫌になって、俺に腹を立ててるんだ。
「ごめん」
「じゃなくて、なんで何回も謝んの? まじでムカつく」
「え、ちょっと待って」
急に踵を返すから、体が勝手に反応して、マクの二の腕を掴んだ。
頭が回らない。その上嫌な動悸が考えるのを邪魔してくる。
「ジェボミがごめんって言うたびに、すごく嫌な気持ちになる」
マクは俺をキッと睨みつけて、そう言う。
怒るポイントが分からなくて、俺の想像と違うから理解出来ない。
「分かんないよね」
その言葉にすら、頷くのが正解なのかも分からなかったけど。どうしようもなくて、首を縦に振った。
「ジェボミは、俺に好きって言いたかっただけなの?」
「えっ」
「この後、どうなるか想像した? どこまで想像した?」
それは、めっちゃした。笑い飛ばされておしまいか、嫌がられてギクシャクした感じになるかもしれないって。だけど、マクが大人だから、なんとなく受け流してくれて。そのうちに俺の気持ちもおさまって。いつかは元通りにただのメンバーになれるんじゃないか、とか。
「軽い気持ちで適当にそんな事、言わないで」
「軽いって、なんだよ。そんなんじゃない」
「だって。ジェボミは自分の気持ちを言うことが目的だったんでしょ。そこに俺はいるの? 俺の事考えた? 俺がずっと、」
そう言うと苦しげに唇を噛み締める。
ずっと、なに。
いつもほとんど自分のことを語らないマクが、心の中を見せてくれるようで。今を逃したら、もう一生ないって、思った。
「もういい」
そう言って出て行こうとするから、力を込めて腕を引っ張った。
「痛い」
そう言われてパッと手を離した。
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