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マクが嫌がらずにジッとしてるから、俺はただその肩に顎を乗せて、しばらく黙って抱きしめていた。
「ジェボミ……俺と付き合える?」
ふいに耳元で、囁く声。
「えっ?」
「それとも、たまにキスとか出来ればいい感じ? そういう事……考えた? ジェボミのゴールは、俺に伝える事だったんでしょ。その先は?」
「どういう……」
「まだ分かんないの?」
体を離して、俺の顔をじっと見る。その耳がちょっと赤くて。瞳も潤んでて。
それでも、まさかなって。
「俺、ジェボミのこと好きだよ」
「えっ、あ、俺? え?」
「鈍感すぎない?」
「え、ごめ……だって、ならさっきなんで怒るんだよ」
あの時自分も好きだって言ってくれれば、それで、よくない?
「だって、ジェボミが何考えてんのか分かんないから」
「それはお前だろ」
「いくら好きって気持ちが同じだとしても、向かいたい方向が違うなら、一緒にいられないって、思うから」
「どういうこと?」
「さっきも聞いたでしょ、ジェボミは、俺と付き合える?」
「付き合うって、恋人になるって、ことだよな?」
「うん。正直に。ちょっと試してだめだったとか、そういうのは無理だよ。この先グループに響く。だから、確信がないと、始められない」
そう言いながら、俺の両腕を掴んで、自分の体から解く。
「そんな」
「俺はそこまで考えて。そんなのきっと無理だろうなって思ったから。だから、ずっと閉じ込めて来たのに。なのに、酔っ払いがキスして来るから」
「えっ」
「あの夜、あんな事にならなきゃ良かった。お酒なんか一緒に飲まなきゃ良かったって、ずっと後悔してた」
「ちょ、それって」
「ジェボミはあの時、俺がたまたまそばに居たからそうなったんだよね。酔ってたから」
なんの澱みもなく、そんな事言うんだ。
「そうじゃない……ただ、溢れただけ」
「なにが」
「気持ちが……酔って気が緩んだのは、否定出来ないけど。でも、だからそうしたんじゃない。お前以外の奴にあんな事、する訳ないだろ」
「うそ……」
「嘘なんて今更つかない。お前はあの時、酔ってたからって、言っただろ」
そう言われて、心が痛かったこと、覚えてる。
「それは……そう言うしかなかったから……そっちがすごい後悔して焦ってる顔してたから。だから、そう言えば気が楽になるって、思ったから」
「それって、俺のためなの?」
あれは、優しさだったのか?
「分かんない、自分の為だったのかも。だって、キツいじゃん。酔ってたまに遊びでキスする相手になんか、絶対になりたくない」
そう言って下唇を噛む。
そんな顔、させたいんじゃない。悩ませたくなんか、ない。
だけど、腕を外されて、単純に寂しい。これから先、ずっと一定の距離を置いて、節度を保って、いつか本当にメンバーのひとりっていう存在になるまで。目を瞑って。
そんなの、変だろ。
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