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《那月》
小さな頃から、ひとりだった。
お父さんとお母さんは居たけど、僕に関心が無かった。
だって、仕方ないよね?
僕は、昔から愚図で、何かあるとオタオタしてたから。
お父さんとお母さんは、いつも仕事。
立派なお屋敷で僕の世話は、お手伝いさんがやってくれた。
最初のお手伝いさん、優しかった。
でも、お父さんとお母さんが、あんまり僕を構わないのでそれをちょっと言ったら、クビになってしまい、僕は保育園に入れられた。
それからは、通いのお手伝いさんが毎日日替わりで、家事をしてくれた。
10歳になった時、お母さんが言った。
「もう自分の事は自分で出来るでしょ?」
コクリと頷いた。
それからは、誰も来なくなった。
寂しいけど…お母さんは3日に一度くらいは、帰って来てくれる。
お父さんも、一週間に一度くらいは帰って来てくれる。
もうそれでいいんだと思った。
13歳になった時、お父さんが言った。
「…引っ越すぞ。」
「え…?」
どうして…?
バチッッ!!
いきなり叩かれた。
「ほんとおまえは愚図ね?」
お母さんが呆れたように言う。
連れて来られたのは、小さなワンルームマンション。
「ここで暮らせ。」
ポンと銀行通帳を放られた。
「生活費は、そこに振り込む。」
あんまり急で、頭が回らない。
「お父さんとお母さん、は?」
バチンッッ!!
今度はお母さんに叩かれた。
「人の事はどうでも良いでしょ?!
あんたはここで暮らすの!わかった?」
「…はい。」
……それ以降、お父さんもお母さんも、家に来なくなった。
お金は、通帳に僕が三人居ても充分なくらいの額が、毎月振り込まれてる。
僕は中学生になった。
保護者の認めが必要なとき以外はかけるなときつく言われている。
ある日それが必要になって、お父さんに連絡した。
お父さんは、何も言わないでプツンと電話を切った。
大丈夫…かな?
僕の言い方が悪くて伝わってないんじゃ…??
散々、悩みまくって、次の日行ったら、もう昨日、認めはもらっているから、と先生に言われる。
良かった。伝わってたんだ。
それからは、何か認めが必要な時は、そうした。
家に帰ってから、誰も居ない生活にも慣れていった。
もともと、お母さんもお父さんも何日かに一回、会うだけだったんだもん。
でも…
まだ信じている。
いつか、お父さんとお母さんと暮らせることを
信じているんだ。
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