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16 《一時》
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《一時》
遅くなっちまった!
残業が悪い!!
閉店15分前、いつものスーパーにやって来た。
コンビニでもいいんだが、惣菜のツマミが欲しい。
さすがに、閉店間際だと人もまばらだな。
お!売れ残ってた茄子のニンニク味姿焼き!
しかも半額!
ホクホクしてレジに並ぼうとしたら…
ん?……後姿のあの子?
そうだ、確かなつきだ。
下げたカゴは、空っぽ?
調味料売り場で、ぼーっとして……
何やってんだ?
「おい?なつき?」
「あ……」
振り向いたその顔見た時、ギョッとした。
頰は腫れ、額にちょっと大きな絆創膏。
「……どうしたんだ?」
「あ…転んじゃったんです。」
にこ、と笑って言う。
いつものなつきだ。
でも……
何か……違う…?
何処が、って言うんじゃないけど??
それにその顔!
転んで出来た傷じゃねーぞ?
喧嘩したのか?
……いつもスーパーで見ているのと派手に喧嘩してるのが結び付かない!
………よそう。
他人の事、とやかく言うのは。
俺がしなくちゃならない事は、
疲れて帰って、一杯ビール飲む!
その至福の時間!
それに、聞いてどうする?
ここはスルーだ。うん。
「もう閉店だぞ?
買い物、良いのか?」
「あ、いけない!
買ってきます!
声掛けて頂いてありがとうございました。」
あの子は、深々と頭を下げて調味料売り場から離れた。
その後ろ姿が……何か…寂しそう…?
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