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《那月》
嬉しかった。
どうしよう、涙が出て来る。
僕の事を心配してくれた事も
膝で寝て怒られなかった事も
那月っていう名前を褒めてもらえた事も
またスーパーに来るって言ってくれた事も
どうしよう、嬉しい事多過ぎて怖くなる。
どうして守谷さんは、そんなに僕の喜ぶ事してくれるの?
それなのに。
それなのに僕は、守谷さんに嘘吐こうとしてる。
………守谷さん……ごめんなさい。
もう一度、守谷さんが帰った方に向かってお辞儀した。
守谷さん、ごめんなさい。
お父さんが行けと言ったから、僕、学校に行きます。
本当にごめんなさい。
嘘吐いてごめんなさい。
それから、反対方向に駆け出した。
大丈夫。
守谷さんに会えたから。
スーパーに行く、って言ってもらえたから。
那月、っていう名前褒めてもらえたから。
大丈夫。
学校で何か起こってもスーパーに行けば、もしかしたら守谷さんに会えるかも…って思って居られるから。
大丈夫。
僕は大丈夫。
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