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31 《一時》
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《一時》
でも、顔に傷って……。
そう言えば、この間もあった。
「なぁ、顔に傷って……。」
その時、那月の後ろの方から自転車が突っ込んで来るのが見えた!
「危ない!!」
「え…」
何の事かわからない那月を咄嗟に引き寄せて、両手で庇った。
自転車に乗りながらスマホ見ていた奴が、那月が居た場所をスピードを緩める事なく通り過ぎて行った!
「待てっ!!この!
あぶねーだろっっ!!」
と、叫んだが奴はちらっとこっちを見て猛スピードで走り抜けて行った。
あーー、もう!!
こっちは轢かれる所だぞ!!
第一、ここは歩道だ!
「……ありがと…ございます?」
ようやく何が起こったか理解した那月が礼を言う。でもなんで、疑問形なんだ?
「なんともなかったか?」
「はい!でも…守谷さんの鞄が……」
あー……咄嗟の行動で、手から地面に投げ出されちまった。
うわ、書類が…。
あー許せん、あのヤロー!!
鞄を拾い、書類を集める。
「僕、拾いますから…!
本当にすみません!」
その隣で、那月がせっせ、せっせと拾い集める。
「あ……あんな所に。」
車道に落ちてる。
風が吹いて飛ばされたのか。
ん?那月が車道に降りた?!
冗談じゃない!!
ここは幹線道路。
今度こそ轢かれるぞ?!
「那月!!!」
車道の中央の書類に向かって歩き出そうとする那月を、すんでのところで引き戻す。
その前を一台の車が通り過ぎって行った。
本人はきょとんとしてる。
「書類が……」
書類見つめて今にもまた行きそうだ。
「那月っ!!!」
「でも……書類が……」
「あぶねーだろーっがっっ!!
さっきは自転車、今は車!
一体何考えてんだっ!!」
那月はビク……となる。
「ごめんなさい!!
ごめんなさい!ごめんなさい!!」
怒鳴られて条件反射のごめんなさい。
「あのな!」
あ…周りの人が、何ごとか、と思って見てる。
やばい。
トーンを落として、
「ん、何が悪かったか言ってみな?」
「え?
え…と…、ああ、そうだ!
僕が轢かれたら、自転車の人にも車の人にも迷惑かけるから!」
……はぁっ…??
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