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44 《一時》
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《一時》
「さ、次は何処に行く?」
お金を払おうとするのを、すったもんだで振り切って尋ねる。
「どこ…って……」
「まぁ適当に見て廻ろ。」
行こうとすると、那月が壊れた風船を丁寧に拾って、ハンカチで包んで鞄に入れた。
「……捨てないのか?」
「……ゴミ箱無いから。」
ニコニコ笑顔で答えた。
なんでハンカチ………??
ま、いいか。
「ゲームコーナーがある。やってくか?」
子供も、案外大人もやってる。
「簡単だよ?」
「いえ…見てるだけで……。」
那月は、何故か尻込み気味だ。
そのくせ、どうやら人がやってるのをに見るだけで、楽しそうだ。
ま、楽しんでるなら良いか。
「あ……」
那月が足を止めた。
何のへんてつもない、ただのクレーンゲーム。
那月が見てるのは、小さなてのひらに乗るぐらいの縫いぐるみのクマ。
那月は何処となく寂しそうだ。
そうだよな。
クマもらった時、あんなに喜んでいたんだ。
平気なはずが無いよな。
何でもないような振りをして2,3歩、歩く。
「あ、あっち側は何ですか?」
「ん、ちょっとストップな?」
「守谷さん?」
仕方ない。
やってくか。
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