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《那月》
この時間なら大丈夫と思って、
あの事件があってから初めて外に出てコンビニに行った。
恐る恐る行ったけど、何にも変わってなかった。
町のざわめきも、コンビニの眠そうな店員さんも。
ビクビクしながら行ったのに、世の中は何にも変わってなくて不思議な気がして。
これなら何とかなりそう。
学校も……
学校もそうだったらいいな。
「那月!」
え?
え??
振り返ると、守谷さんが立ってた!
守谷さんだ!
僕……どうしたらいい……?
逃げ出しかけて、辛うじて止まる。
顔見て逃げるなんて、あんまりにも失礼だ。
それよりも、なんで居るの??!
朝一番だよね?
なんで??
なん…で……
とりあえず……
とりあえず挨拶しなくちゃ!
挨拶はしたものの……
どうしよう!
まともに目が合わせられない!!
うう…
いきなりなんて。
しかも守谷さん怒ってる!
どうしよう。
まさか、僕の考えてる事わかったんじゃ……!
ごめんなさい!
助けてなんて思って、そのあとに有らぬ妄想……
え……?
でんわ……?
「いきなり怒鳴ってごめんな。
電話、2、3回掛けたけど留守だったのか?
1か月会わないなんて初めてだったし、また具合が悪いんじゃないか、と思って。
心配したんだぞ?本当に。」
ポカンとなった。
………心配?
目が熱い。
なんだ、これ?
僕は……
僕……は……
呼ばれて我に返った。
泣きそうになってる自分に驚いて、慌てて誤魔化した。
守谷さんも変わらない。
ぶっきらぼうだけど……優しい。
僕の感情は変化してるのに。
考えないようにしてきた。
何故、誰かではなく
お父さんでもなくお母さんでもなく
守谷さんに助けて、って思ったのか
何故、犯されてる時に
守谷さんだったら良いのにって思ったのか
何故、誰でもない守谷さんだったのか、は考えないようにした。
守谷さんの事考えると、あったかくて泣きそうになるこの感情も
下半身の疼きも
全部考えないようにしてきた。
考えたらいけないんだ。
気付いたらもう、戻れなくなる。
そんな気がして。
もう
もう……無かった事にして良い?
今までの関係に戻るんだ。
もう難しい事考えない。
10貯まったら会いに行く。
会えなかったら仕方ない。
守谷さんからは、幸せいっぱいもらうけど自分からは決して求めてない。
それで……いいよね?
守谷さんが僕にとって何なのか、気づかない振りをするのが一番良いんだ………。
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